KOZUEジン 国産和歌山ボタニカルが特徴の和製ジン
「槙KOZUE 和歌山クラフトジン(Japanese Craft Gin KOZUE)」は中野BC株式会社の富士白蒸留所が製造しているジャパニーズクラフトジンです。
槙KOZUEジンの大きな特徴は、ボタニカルに和歌山県産素材である高野槙(コウヤマキ)の葉が使われていること。
コウヤマキはマツ目コウヤマキ科の常緑針葉樹です。名前は高野山真言宗の総本山である高野山に多く分布していることに由来していて、高野山では霊木とされているんですね。
古代から高級な棺や水桶、橋杭などの材料に使われ、葉は深い森のようなスッキリとした香りがあるため、アロマオイルにも使われます。この素材をジンや食用(飲料用)として使うのは世界初なのだとか。
ジャパニーズクラフトジンらしさを強調したレシピ
この高野槙にもジュニパーベリーにも「α-ピネン」という成分が多く含まれているために両者の相性は良く、豊かな香りが生まれます。
そのほかのボタニカルは温州みかんの皮、レモンの皮、山椒の種。ジュニパーベリー以外はすべて国産(和歌山県産)です。
これらはベーススピリッツに少量ずつ漬け込まれ、各素材の香りが最もバランスが良く抽出できたタイミングで引き上げられます。
それから、それぞれの原液を常圧でゆっくりと蒸留。蒸留後は低温で一定期間熟成させるわけですが、このときなるべく空気に触れないように細心の注意を払ってやさしく手作業で攪拌(かくはん)されます。
これはアルコールが刺さらない、柔らかい口当たりが得られる工夫なんですね。こうして素材がもつ個性的な香り、風味がジンの中へ溶け込んでいきます。
価格とレビューの評価
槙KOZUE 和歌山クラフトジンはアルコール度数47度・700mlで、最安値(税込)は2,700円ほど。
ジェニパーベリーと溶け合う高野槙の清らかな香りのあとに、まろやかな柑橘風味と山椒の香りがキレ味爽やかです。
一般的な評価は高いものの、やはりコウヤマキが主張する香りが好きかどうかという点で好き嫌いがはっきり分かれるようですね。
伝統的なロンドンドライジンを愛する方のなかには「初めて日本のジンに挑戦。香りも味も私には合いませんでした」という感想も。
支持するレビューでは「まろやかで美味しかったです。パンチの有る味」「木材の香りの後にオレンジや山椒の風味が顔を出すが、とにかく木材香が凄い」「海外物よりも香りが多く感じられ、とげとげしくなくまろやか」などのテイスティングレビューが見られます。
中野BC株式会社の富士白蒸留所とは
中野BC株式会社は日本酒や梅酒などを手がける和歌山県の酒造大手。もともとは清酒をおもに製造販売していましたが、和歌山の企業という個性を打ち出して紀州のウメによる梅果汁、梅酒をヒットさせています。
和歌山県なのになぜ富士白蒸留所?と私は疑問を感じましたが、実は中野BC株式会社の本社所在地の地名が和歌山県海南市藤白(ふじしろ)なんですね。
つまり、藤白に「富士」の字をあてて名づけたわけですね。同社製造の「富士白無限 麦」のブランド名にも使われています。
ちなみに、小さいタンクで小仕込みされる「槙KOZUE」の製法は特許出願中とのこと。小仕込みとは酒造りの仕込量を少なくするという意味です。
手造り作業を中心に丁寧に造る吟醸酒の場合などは、必然的に一回の仕込み量も小口にならざるを得ませんから、丁寧に造られているんですね。