ゴールド999.9ジン 特徴はボトルやお酒の色が金色なこと
「ゴールド999.9ジン(Gold 999.9 Gin)」はフランスアルザス地方・フジュロルのポール・ドゥヴォワール蒸留所で造られているクラフトジンです。
クラフトジンのなかでもとりわけ個性の強く、ボトルデザインは目を引くゴールド。さらに中身のお酒も金色。香水のように華やかな香りにオレンジ系の甘み、ほどよい苦みが特徴です。
ボタニカルにはジュニパー、タンジェリン、アーモンド、スミレ、コリアンダー、アンジェリカ、桂皮、ゲンチアナヴァイオレット(gentian violet)、ポピー、バニラなどの11種類が使われています。
ゲンチアナなどアルザス地方特有のボタニカル
タンジェリンはポンカンやデコポンの仲間で、赤みを帯びた濃いオレンジ色をしています。味は薄めで香りの強い果物です。
ゲンチアナは聞き慣れない植物ですが、リンドウ科に属する植物でヨーロッパに分布する多年草。微生物実験や手術の目印としても使われる色素のひとつなんですね。
ゲンチアナは16世紀のヨーロッパと深い関連があります。この時代、宗教改革から逃れた人たちがスイスのレマン湖地方で住みつき、時計産業を発展させます。
時計の部品を研磨する作業にはゲンチアナの茎が使われ、緻密な作業にストレスや病を抱えた人は健胃作用があるゲンチアナの根や根茎を食用に使うなど、生活に馴染みの深いボタニカルだったわけです。
バニラはどのように加工される?
フランスらしいのはボタニカルにバニラを使っていること。原型となるバニラはラン科バニラ属のつる性植物で、樹木などにからまりながら成長します。
バニラ特有の甘い芳醇な香りのもとは果実。細長い、いんげん豆のさやのような中に入っていて緑色をしています。
果実はそのままでは青臭いので、甘い香りを得るために「キュアリング処理(curing)」という工程を経ます。
キュアリング処理をサツマイモでたとえましょう。サツマイモは収穫時の傷口から病原菌が侵入して、貯蔵中に腐敗しやすくなります。
それを防ぐために、収穫後の1週間以内に35~36℃、湿度90~95%に5~6日保って貯蔵します。
すると、傷口に組織が形成され、耐病性、耐寒性が強くなるんですね。このように、バニラの果実も一定温度と湿度で貯蔵されます。その後、乾燥・発酵させるとチョコレート色に変化して、強く甘い香りを放つようになります。
この種がバニラビーンズシードと呼ばれ、バニラ香料の原料となるわけですね。メキシコ、中央アメリカ原産ですが、現在はおもにインドネシア、マダガスカル、中国で生産されています。
ゴールド999.9ジンの価格とレビューの評価
ゴールド999.9ジンはアルコール度数40度・700mlで、今日現在の最安値(税込)は3,800円ほど。
伝統的な辛口のロンドンドライジンが好きな方に受けるかはちょっと疑問ですが、一般的な評価ではとくネガティブな評価は見当たらないようです。
支持するレビューでは「さわやかな薫りと黄金色が見事なジン。飲みやすく飽きの来ない味」「コアントローでも混ぜたんじゃない?ってくらいオレンジ系特有の鼻をスーッと通る香りと程よい甘さを感じます」「味は柑橘系のリキュールに近く、甘みもあって、そのままでも飲めるくらい」などのレビューが見られます。
ゴールド瓶の意味
ちなみに、ボタニカルのゲンチアナはアルプス地方では蒸留酒エンツィアンの原料にも利用されています。エンツィアンは「007ゴールドフィンガー(イアン・フレミング)」の原作本にも登場しますが、奇しくもこの映画も「ゴールド」なんですね。
このジンのコンセプトになっている金とは、20世紀初頭、アマチュアの蒸留家がアルザスで見つけた純金のポットスチルのアンティークを入手してジンの蒸留に成功した歴史にちなんでいるとか。
実際に今でも蒸留工程の一部で純金のポットスチルは使われているそうです。ボトルの数字、999.9も純金に刻印される単位を意味しています。