キュロナプエフィンランドジン・ライ麦ベースとボタニカルが特徴
「キュロナプエフィンランドジン(Kyro Napue Finland Gin」は北欧フィンランドの「イソキュロ(ISO KYRO)」にある「キュロ蒸留所(Kyro Distillery)」で造られています。
自社の100%フィンランド産ライ麦をベーススピリッツに、12種類のドライボタニカルと4種類のフレッシュボタニカルが使われています。
ライ麦にこだわっているのは、ライ麦がフィンランドの国民食であり、消費量も多いこと。フィンランドならではの文化をアピールしたわけですね。
ドライボタニカルはディル、アンジェリカ、シナモン、レモンピール、コリアンダー、カルダモン、リコリス、ハイビスカス、オリスの根、ジュニパーベリー、エルダーフラワー、クランベリー。
フレッシュボタニカルはメドゥースウィート(meadowsweet)、白樺の葉(birch leaf)、シーバックソーン(sea-buckthorn)、キャラウェイ(caraway)が使われています。
ハーブ感強めの甘いクラフトジン
地元フィンランドで収穫されているシモツケソウ、白樺の葉、シーバックソーン、クランベリーなどがキーボタニカルとして使われているため、一般的なドライジンとは違ってライ麦由来の甘さとハーブ感が強めなのが特徴です。
この特徴を出すのはこだわりの蒸留法にあります。12種のボタニカルは浸漬方式とヴェイパー方式(蒸気で香りを抽出する方法)を併用して蒸留されます。
まず、ドライボタニカル10種類をベーススピリッツに16時間浸漬。その後、蒸留の段階で蒸気となったスピリッツを、銅製のバスケットに収めたエルダーフラワーとハイビスカスに通過させて、ジンベースを造ります。
このほかにフレッシュボタニカル4種を個別に蒸溜・抽出して、あとから5種類をブレンドして完成。かなり手間のかかったクラフトジンなんですね。
価格と口コミ、フィンランド流ジントニックのおいしい飲み方
キュロナプエフィンランドジンはアルコール度数46度・500mlで、最安値(税込)は3,800円ほど。お試しの方には100mlのミニサイズも1,300円くらいで購入できるので、おすすめです。
一般的な評価ではマイナスを指摘する感想はとくになく、支持するレビューとして「Fever treeのトニックウォーター、ローズマリーのハーブを少々、そしてクランベリーを入れて飲むと完璧な北欧スタイルジントニックになります」「ジンの常識を覆す、新しいジャンル」「何本も頂いておりますが、結局こちらになってます」など。
キュロナプエの一番のおすすめの飲み方は地元フィンランド流のジントニック。「キュロナプエ1/4に対して、フィーバーツリーのトニックウォーターを3/4」というレシピです。
多様な香りとテイストを存分に味わう方法である「パーフェクトサーブ」にするなら、レビューにもあったようにこれにクランベリーとローズマリーを加えます。
個性的なボタニカルについて
メドゥースウィートはモンゴルが原産地で草原に群生する植物。花や葉、根から甘い香りを発するのでその名がつけられました。
セイヨウナツユキソウとも呼ばれ、アスピリンの元になったサリチル酸を含むハーブでも知られています。
白樺の葉はフィンランドのサウナでおなじみですね。風味は爽やかで少し甘みがあります。シーバックソーンはグミ科の落葉低木で、果実にはビタミンCが豊富。
ビタミンA、ビタミンE、油脂が含まれています。フィンランドなどでは古くからジャムや果実酒などに使われてきました。
キャラウェイは西アジア原産のセリ科の二年草。種子のように見える果実は香辛料として、パセリに似た味の若葉は生食や飾り付けにされ、根も食べられます。
キュロコスクエジンとは
ちなみに、同社では「キュロコスクエフィンランドジン(Kyro koskue Finland Gin)」も販売しています。
こちらはキュロナプエとはボタニカルやブレンドも少し変えて、約3ヶ月アメリカンホワイトオークの新樽で熟成させた限定品。
キュロナプエに使われているシーバックソーンとバーチの代わりにオレンジピール、ブラックペッパーのボタニカルを使っているんですね。
キュロコスクエジンはアルコール度数42.6度・500mlで、最安値(税込)は4,400円ほど。こちらも100mlのミニサイズが1,500円くらいで購入できるので、両方試したい方はミニサイズを2本購入するのもいいかもしれません。コスクエのほうが限定品なので希少です。
ヘルシンキの北に位置するイソキュロに遺された歴史
イソキュロはヘルシンキの北に位置していて、車で5時間、列車で3時間半の距離にあります。現在の人口は5000人以下ですが、かつて中世には大きな自治体の行政中心地として栄えていました。
1700年からは大北方戦争、または「グレートノーザンウォー(Great Northern War)」と呼ばれるスウェーデンの覇権をめぐる戦争が起こります。
スウェーデンと反スウェーデン同盟(北方同盟)を結成した諸国とが争い、1721年まで続いた戦争において、現在のキュロ蒸留所の近くにある村「ナプエ(napue)」はスウェーデン・フィンランド軍とロシア軍との戦いの最後の戦地となりました。
1500人のロシア兵士と3000人のフィンランド兵士が命を落としたというこの地には、戦いを記した記念碑が残っています。
その歴史に敬意を払い、「キュロコスクエフィンランドジン」のロゴや書体は記念碑の彫刻から設計されているんですね。