ボルスジュネヴァ・ジュネヴァ伝統の味を楽しむならおすすめ
「ボルスジュネヴァ(Bols Genever)」はオランダ・アムステルダムに蒸溜所をかまえるボルス(BOLS)社が製造しています。
ボルスのジンは後述するように数種類ありますが、1820年に作り上げたオリジナルレシピを忠実に再現して2008年から販売された銘柄がこのジュネヴァ。
世界中のバーテンダーから往年のクラシックカクテルを再現するために、当時のジュネヴァを求める声が高まり、要望に応えたという背景があります。
製造法はライ麦、トウモロコシ、小麦を蒸溜したスピリッツを、まずは連続式蒸溜機で1回蒸溜して、アルコール度数50度のモルトワインをつくります。
次にこのモルトワインを単式蒸溜器で2回蒸溜して47度まで下げます。それから、ジュニパーベリーだけを蒸溜したスピリッツと、アンジェリカ、ジンジャー、コリアンダーといったボタニカルを抽出したスピリッツを加え、さらに企業秘密の材料をブレンドしています。
モルトワインは全体の50%以上使われているので、通常のジンとは味わいの違う、なめらかなモルト風味が再現されています。
価格とヤングジュネヴァ、オードとの違い
ボルスジュネヴァはアルコール度数42度・700mlで、最安値(税込)は3,600円ほど。日本では他のリキュールと同様に、アサヒビールが販売しています。
ボルスのジュネヴァにはこのほかに、ヤングジュネヴァ(Yonge graan jenever)とオードジュネヴァがあります。
ヤングジュネヴァは35度・1000mlで、最安値(税込)は2,100円ほど。ジュニパーベリーとモルトの発酵液を蒸留し、ハーブやスパイスで香り付けされているのは同じですが、軽めの仕上がりになっています。
オードジュネヴァは35度・1000mlで、最安値(税込)は2,300円ほど。大麦を2回蒸留し、ジュニパーベリーの香りを柔らかくつけたクラシックなタイプで、ボトルが伝統の陶器製。オールドジュネヴァと表記されていることもあります。
ボルスのジュネヴァ銘柄 |
通販販売店の最安値価格(税込) |
ボルスジュネヴァ (42度・700ml) |
3,600円ほど |
ヤングジュネヴァ (35度・1000ml) |
2,100円ほど |
オードジュネヴァ (35度・1000ml) |
2,300円ほど |
アメリカのカクテルブームで19世紀半ばに需要拡大
創業者の孫であるルーカス・ボルスがかつて考案したレシピをもとに、同社の「ボルスジュネヴァ」は1820年に初めて発売されます。
そのころ、アメリカはカクテル黄金時代。19世紀半ばになると、リキュールは絶大な人気を誇るようになっていきました。
当時、アメリカでバーテンダーとして名を成していたのが、ジェリー・トーマス(Jerry Thomas・1830~1885)。現代でも「モダンカクテルのパイオニア」「アメリカカクテルの父」と称される人です。
ジェリー・トーマスが愛したボルスジュネヴァ
彼はアメリカ・ニューヨーク州北部のサケッツ・ハーバー(Sackets Harbor)という町に生まれ、現代でもバーでよく飲まれる「トム&ジェリー」を10代で考案。リキュールと他の酒を混ぜる「カクテル」のコンセプトを発展させていきました。
以後、全米各地のさまざまなホテルやサロン・バーのチーフ・バーテンダーなどを渡り歩いて、バーテンダーとしても華麗なパフォーマンスを披露しました。
その後、全米初の体系的なカクテルブック「How to Mix Drinks or the Bon Vivant's Companion」を出版。本には4分の1のカクテルにボルスのジュネヴァが使われていました。
ちなみに、1880年当時、アメリカでのジュネヴァの販売量は英国産ジンの6倍もあったとか。その後、禁酒法と第二次世界大戦の影響でジュネヴァの輸出が禁止される時代もあり、アメリカでは衰退していきます。
とはいえ、ジェリー・トーマスの本は現在も出版されています。彼が愛したジュネヴァの味はいまでも楽しめるわけですね。
ボルス(BOLS)社の歴史
ボルス(BOLS)社は現存する蒸留会社としては世界最古で、日本ではリキュールでもお馴染みですね。
1575年、同社はオランダ・アムステルダムに蒸溜所を設立してスピリッツの製造を開始。1652年に創業者の孫であるルーカス・ボルス(~1719)が誕生して、のちにボルス社を国際的な企業に育て上げていくことになります。
1664年にオランダ産のスピリッツ「ジュネヴァ」の蒸溜を開始すると、イギリスで評判となり、オランダ商人によって世界中から持ち込まれる薬草や香草、フルーツを使って、スピリッツを数多く生み出して現在のボルス社の基礎を作りました。