アベラワーアブーナ スペイサイドの湧き水を使った甘いシングルモルト
「アベラワーアブーナ(Aberlour A'bundh)」はスペイサイドの中心、ベンリネス山(ベン・ネビス山)の湧き水を水源とするラワー川沿いにあるアベラワー蒸留所(ペルノ・リカール社所有)が造っているシングルモルトウイスキーです。
アベラワーにはシングルモルト10年、12年、18年という熟成表記ボトルもありますが、すべてに共通する特徴はなめらかな舌触り。
その理由はベンリネス山に降る雨と雪が、地下の花崗岩とピートで濾過された清らかな軟水を使った 仕込み水にあると言われています。
ボトル名は創業当時と同じ製法というコンセプトを意味
日本では「アベラワーアブーナ」の銘柄は別名で「アベラワーアブナック」とも呼ばれます。
蒸留所の名前は地元のアベラワー村が由来で、アベラワーとはゲール語で「せせらぐ小川の川口」の意味。また、アブナとは同じくゲール語で「起源」を意味しています。
起源と名付けられた理由は「19世紀の創業当時と同じ製法で造られた」というコンセプトからきています。
同じ製法とは「オロロソのシェリー樽で寝かされた原酒を、チルフィルター(低温濾過)をかけずに樽出しのままの度数でボトリング」という工程なんですね。
熟成銘柄とひと味違う、上品で強いシェリー感の風味
アベラワーの銘柄はまろやか、ほんのり系のスペイサイドとして知られていますが、この工程によってアブーナはそれらとは一線を画する仕上がりになっています。
およそ60度前後のカスクストレングスですが、それを感じさせないシェリーカスク由来の上品な香りが効いていて、ダークチョコレートなどの甘い風味が特徴です。
テイスティングレビューと価格
銘柄 |
ペルノ・リカール社の 参考小売価格(税込) |
通販販売店の 最安値価格(税込) |
アベラワーアブーナ (約60度・700ml) |
1万円 | 7,100円ほど |
アベラワーアブーナは700ml、カスクストレングスなのでバッチごとにアルコール度数は違って、60度から61.2度くらい。
最安値で7,100円(税込)くらいと熟成表記のないノンエイジにしては高級ですが、定価の目安となるペルノ・リカール社の希望小売価格は10,000円なので、今のところ価格高騰はないようですね。
一般的な評価は「その辺の市販より遥かに旨い」「味わいは甘さが強い」「アルコール度が高いのにストレートでも飲みやすい」「とても深くていい香り」「ストレート良しロックも良し」など、高評価のレビューが並びます。
飲み方としては、加水すると上品なシェリーの香りが消えてしまうので、なるべくストレートかロックで楽しみたいところです。
アベラワー蒸留所の歴史と設備
アベラワー蒸留所は1826年にジェームズ・ゴードンとピーター・ウェアによって建てられ、何度かオーナーが変わっています。
1879年に大規模火災が起き、当時ダルユーイン蒸留所を運営していたジェームズ・フレミングが美しいヴィクトリア朝の建物を再建。
その後、1898年の火災からも再建されています。1974年にはペルノ・リカールが買収し、その際に設備が付け加えられました。
発酵漕はステンレス製が6基。ポットスチルはストレートヘッド型で、初溜釜2基、再溜釜2基の合わせて4基など近代的設備での再スタートとなりました。
記事最初で紹介した画像がそのストレートヘッド型。玉ねぎ型とも呼ばれますが、このポットスチルで蒸留するとフルーティーなミディアムボディの特徴が生まれると言われています。