アルバータダークバッチは冒険的カナディアンライウイスキー
「アルバータプレミアムダークバッチ(Alberta Premium Dark Batch)」はカナダの西部、アルバータ州にあるアルバータ蒸溜所でつくられている、カナディアン・ライウイスキーです。
特徴は常識を覆す、新しいコンセプトで造られていることで、なんとライウイスキー91%、バーボン8%、シェリー酒1%の比率によるブレンデッドウイスキーなんですね。
それでもカナディアン・ライウイスキーを名乗れるの?と思えますが、問題ありません。カナディアンウイスキーでは「熟成年数を満たしていれば、内容の9.09%まではどんな原酒をブレンドしてもいい」という条件があります。
9.09%の自由度を使って独自の風味を表現
この条件は製造法の自由度にも反映できるため、ダークバッチはその条件を満たしながら独自の個性を追求したというもの。
ちなみに、カナディアン・ライウイスキーの条件は「ライムギの使用比率が51%以上でなければならない」というもので、これも軽くクリアしていますから堂々と名乗れるわけですね。
内容の内訳は表を参照ください。全体の91%に使われているライウイスキーのうち、50%を占めるフレーバリングウイスキーは、ポットスチルで蒸溜し、新樽で6年間熟成したライ麦100%の原酒。
アルバータ ダークバッチの構成 |
内訳 |
ライウイスキー91% |
6年熟成フレーバリングウイスキー 50% 5~12年熟成のベースウイスキー 50% |
バーボンウイスキー8% |
ライ比率が高いケンタッキー産 「オールド グランダッド」 |
シェリー酒1% |
ペドロヒメネスのオロロソシェリー(38度) |
残り50%のベースウイスキーもライ麦100%で、コラムスチル(連続式蒸留機)で蒸溜後、古樽で5~12年熟成したもの。
全体の8%に使われているバーボンは、ライ比率が高いケンタッキー産バーボンの「オールド グランダッド」。
そして、全体の1%に使われているシェリー酒がペドロヒメネスのオロロソシェリー。 加水していない度数38%の濃厚な味わいが活かされ、わずかに加えただけでこの濃い赤銅色が生まれます。
伝統のカナディアン風味にバーボンとシェリー酒が溶け込んで、複雑な香味を持つウイスキーに仕上がっているわけです。
カナダでは別名のダークホース。意味の起源は競走馬だった
ちなみに、このボトルはカナダでは「アルバータプレミアムダークホース(Alberta Premium Dark Horse)」と呼ばれて販売されています。
現在、日本とアメリカに輸出されていますが、商標の関係で日米では「ダークバッチ」の名前のラベルがついているんですね。
ダークホースの由来はアルバータ蒸溜所創設者のひとり、フランク・マクマホン氏の愛馬「マジェスティックプリンス」。
1969年の第95回ケンタッキーダービーで前評判の高かった一番人気馬を破って勝利、さらにプリークネスステークスも制してクラシックレース二冠を達成した馬です。
デビュー以来無敗でのクラシックレース二冠という記録はアメリカ競馬史上初の快挙で、「ザ・プリンス」の称号で讃えられました。
引退後には種牡馬として33頭ものステークス勝馬を輩出。4代先の子孫も2001年、2010年のケンタッキーダービーを制しています。
テイスティングレビューと価格
アルバータダークバッチはアルコール度数45度・750mlで、価格は2,600円(税込)前後。
一般的な評価は「バニラ・メイプルシロップの薫りと果物の爽やかさ」「スパイシーでピリピリくる。不思議な甘さが後からくる。好みが偏りそうな感じ」「とても美味しいですが、とらえどころが難しい」など、とまどいつつも評価高めというテイスティングレビューです。
ダークバッチのおすすめの飲み方としてはストレート、ロック、ハイボールのほかに、カクテルとしてウイスキーを牛乳で割る「カウボーイ」やネグローニのウイスキー版「ブルヴァルディエール」、ウイスキーにアブサンやビタースを加えたオールド・ファッションなスタイル「サゼラック」あたりが紹介されています。
常識を破る3種類のブレンデッドというレシピが、まさに「ダークホース」。由来となるマジェスティックプリンスが登場したときのように大ヒットになるかどうか。
これからが楽しみです。価格もそこそこですし、気に入ったらおさえておきたいところですね。