カクテル・アレキサンダーのベースは2種類あり、風味の違いは
カクテル「アレキサンダー(Alexander)」のブランデーとジンベースによる2種類の作り方や名前の由来、映画との関係を紹介します。
このカクテルは日本ではブランデーベースとして知られていますが、アメリカでは禁酒法が施行されていた1920年代、ジンベースが主流でした。
そのような歴史からアメリカではジンベースを指すことが多く、ブランデーベースは「ブランデー・アレクサンダー」と呼ばれて区別されています。
ブランデーベースではブランデーの香りにカカオ風味と生クリームが調和して、ブランデー風味のミルクチョコレートといった印象に。甘いので食後のデザート代わりにちょうどいい感じですね。
ジンベースでつくるとジンの苦味が邪魔してしまう感じもあるので、日本人の好みからすると飲みやすいのはブランデーベースのほうだと思います。
基本レシピとおすすめカカオリキュール
基本レシピ
ブランデー(ジン) 30ml
カカオリキュール 15ml
生クリーム 15ml
シェーカーに材料を入れてシェークします。ブランデーはそれなりの銘柄を選んだほうが、味わい深くておいしいです。
カカオリキュールの銘柄はマリーブリザールの「カカオ・ブラウン」か、ボルスの「クレーム・ド・カカオブラウン」あたりがおすすめです。
ちなみに、どちらのメーカーも「ホワイト」と「ブラウン」があって、ブラウンのほうが風味が濃いなので、好みではありますがバーテンダーの方はブラウンを推奨される方が多いようですね。
マリーブリザール「カカオ・ブラウン」の度数・価格
マリーブリザールは1755年、フランスのボルドーで創業した女性経営者の名前が起源のリキュール・ドリンクの製造会社。
「カカオ・ブラウン」はアフリカの厳選したカカオ豆とマダガスカル産のバニラを一緒に蒸留、浸漬して作られています。
この会社のアレキサンダーのおすすめレシピに使用するブランデーは、「コニャック」となっていますので、コニャックがお手元にあれば使ってみてくださいね。
マリーブリザールの「カカオ・ブラウン」はアルコール度数25度・700mlで、最安値(税込)は1,600円ほど。
ボルス「クレーム・ド・カカオブラウン」の度数・価格
ボルスはオランダのアムステルダムに本社がある、リキュールやスピリッツの酒類製造メーカーです。
「クレーム・ド・カカオブラウン」はローストしたカカオの豆を使用しているので、バランスのとれた甘く、長い後味が特徴。
レモンと砂糖を加えてシェークするカカオフィズ、炭酸割りでも楽しめます。アルコール度数24度・700mlで、最安値(税込)は1,200円ほど。
作り方のコツは
生クリームのまったり感を大事にしたいなら、シェークしすぎると生クリームが水っぽくなるので手早く作業しましょう。
ドロッとしたカクテルはシェーカーからグラスに注ぐときに、ちょっと時間がかかります。後半では小刻みにシェーカーを揺らすと液体が早く落ちます。
アレキサンダーのアルコール度数はブランデーやリキュールにもよりますが、だいたい22度から26度くらいと言われます。口当たりはいいですが、それなりの度数なのでお酒に弱い方は一気に飲まないようにしてくださいね。
名前の由来やカクテル言葉は
アレキサンダーという名前の由来には諸説ありますが、いちばん有名でわかりやすいのが次の説。
デンマークのアレクサンドラ王女がイギリス王室へと嫁いだとき、あるいは嫁いだあとに夫のエドワード七世が即位してアレクサンドラが王妃になったときに、彼女に捧げられたカクテルというもの。
この由来から最初は王女の名にちなんで「アレクサンドラ」と呼ばれていたのが、いつの間にか「アレクサンダー」という男性の名称に変わったのだとか。フランスでは今でもこのカクテルをアレクサンドラと呼ぶ人が多いそうです。
アレキサンダーのカクテル言葉には「完全無欠」「初恋の思い出」という意味があります。
映画「酒とバラの日々」にも登場
このカクテルはブレイク・エドワーズ監督の映画「酒とバラの日々」(1963年)に登場しますが、カクテル言葉を知っていると映画の内容ががさらに切なく感じられます。
「初恋の思い出」に掛けたのか、それとも「完全無欠」を皮肉った意味だったのか。映画はアルコール依存症に陥って行く夫婦の、シリアスでほろ苦い物語が描かれていきます。
そして、苦しみのきっかけをつくってしまったのが、このカクテルだったんですね。ちょっとイメージの悪い役回りでしたが、映画音楽のほうはその後、永遠のスタンダードとなっています。
同名のテーマ曲「酒とバラの日々」はイタリア系アメリカ人のヘンリー・マンシーニの作曲によるもの。「ムーン・リバー」「ひまわり」「刑事コロンボ」「ピンク・パンサー」のテーマ音楽で知られる作曲者です。
「酒とバラの日々」はアカデミー歌曲賞を受賞。60年代の代表的な流行歌となり、ジャズのスタンダードナンバーとして多くの歌手や演奏家にカバーされたので、どなたでも一度は耳にしたことがあると思います。
個人的には1964年録音のオスカー・ピーターソン「We Get Requests」、1967年録音のカウント・ベイシーのビックバンド「Broadway And Hollywood...Basie's Way」あたりがいいなと思います。
アレキサンダーを楽しみながら、ぜひYou Tubeで聴いてみてくださいね。