アードベッグ ウーガダール 10年との違いや特徴とは
「アードベッグ ウーガダール(Ardbeg Uigeadail)」はスコットランド・アイラ島のアードベッグ蒸留所(MHDモエヘネシーディアジオ社傘下)が造っているウイスキーです。
スタンダード10年(Ardbeg Ten)との大きな違いは、使用する樽。10年は熟成に使っている樽がバーボン熟成のみです。
アメリカンオーク樽のファーストフィルとセカンドフィルの使用で度数は46度。
いっぽう、「アードベッグウーガダール」はノンエイジで、バーボン樽熟成の原酒にシェリー樽熟成の長期熟成原酒をヴァッティング。
カスクストレングス(複数の樽から取り出したまま、加水せずにブレンド)なので、度数は54.2度と高くなっています。
ピートフレーバーとシェリー樽由来の甘い風味
つまり、ウーガダールはアードベッグ本来のピートフレーバーと潮気の個性を持ちながら、シェリー樽由来の甘い風味を効かせたもの。
飲み口は10年よりもふくよかな印象です。もちろん、野性的なピートのヨード香がシェリーの香りに勝っていますが、口に含むとスモーキーさやヨード香は控えめに感じると思います。
10年もウーガダールも本来の風味を活かすために、冷却ろ過をしていないノンチルフィルタード製法というのは共通しています。
ウーガダールの評価や価格について
アードベッグ ウーガダールは700mlと750mlがあります。
あくまでも記事アップ日の価格ですが、最安値で6,500円ほど。タイミングがよければ並行輸入で6,000円ほどのボトルも見つかります。
10年が好きな方はこの「熟したフルーツとほろ苦いスモーキー風味」をどう感じているのか。
一般的な評価を調べてみるとレビューを見る限り、10年と遜色なく高い感想が並んでいます。
「シェリー樽仕込みのせいなのか甘みも感じるし、かつパンチもある」「TENよりもボディは重く、シェリーの香りが良い感じ」「54度とは思えないくらい飲みやすい」といったレビューで、ネガティブな評価はありません。
終売の噂がありながら価格はそれほど高騰していないのも支持の理由のひとつかも。飲み方はハイボールでも重厚さが引き立ちますが、私はもったいないので一杯だけにしてあとはロックでチビチビです(笑)。
ちなみに、この銘柄が発売されたのは2003年。
蒸留所はディアジオ社傘下になる以前、1980年代の操業休止や再稼働後の不安定な経営のために原酒の種類が少なく、発売初年度と次年度は1970年代蒸留の貴重なシェリーカスクがヴァッティングされていたのだとか。
現代では2000年代以降に蒸留された原酒が使われているそうですが、今なら価格はどのくらい高騰するのでしょう。
アードベッグ ウーガダールの意味と由来
アードベッグ蒸留所が水源として利用しているのは、ウーガダール湖、アリナムビースト湖で、ウーガダールの名前の由来はウーガダール湖にちなんでいます。
蒸留所の真上にある丘陵地、海抜600フィート(約183メートル)の高地にある湖で、その水はピートの地層を通るためにピートが溶け出したコーヒー色をしています。
ウーガダールとはゲール語で「暗くてミステリアスな場所」と言う意味があるとか。
山歩きを経てこの湖に到着した人たちは、蒸留所に恵みをもたらすウーガダール湖に感謝して、湖面にウイスキーを注ぐのが伝統だそうです。