アードモアレガシー・蒸溜所の特徴や価格・評価と12年との風味の違い
「アードモアレガシー(Ardmore Legacy)」の特徴や価格、ボトルの評価と12年との風味の違い、アードモア蒸溜所の製造法などを紹介します。
アードモアレガシーはスコットランドのアバディーンシャー州ケネスモント近郊にあるアードモア蒸溜所で造られているシングルモルトウイスキーです。
アードモア蒸溜所はもともとウィリアム・ティーチャー氏が開発したブレンデッドウイスキー「ティーチャーズハイランドクリーム」のキーモルトを確保するため、1898年に設立された蒸溜所です。
アイラよりドライで煤っぽいセントファーガス産ピートが特徴
アードモア蒸溜所ではピーテッドとノンピーテッド麦芽を使っています。
1975年までは自社製麦をおこなっていて現在はモルトスター(麦芽製造会社)に委託していますが、基本方針を変えてはいません。
原料の大麦は地元アバディーンシャー産。ピーテッド麦芽用のピートは蒸溜所から約60km離れたセントファーガスで切り出したピートにこだわっています。
セントファーガスのピートは炭素が多く、ミズゴケが含まれていないため、アイラ島のモルトの個性となっているヨウ素の潮っぽさがないんですね。
むしろ、炭や焦げた燃えさしのようなドライで煤っぽい特徴があります。
これまでは原酒供給の必要性からシングルモルト市場にあまり流通していませんでしたが、ビームサントリーの所有となってからは販売されるようになりました。
レガシー(遺産)を守り続けるアードモア蒸留所
「アードモアレガシー」はレガシー(遺産)の名の通り、アードモア蒸留所が守り続けるスコッチの伝統的遺産が表現されたウイスキーです。
仕込み水は蒸溜所北に位置するノッカンディの丘の湧水を使用。発酵槽はダグラスファー(ベイマツ)の木桶発酵槽が14基。
ダグラスファーとはオレゴンパインとも呼ばれ、カナダやアメリカの太平洋岸に生息している針葉樹。高さは60~75mほどになり、100mを越すものもあります。
耐久性や加工性が良く、日本には安定性の高い木材として住宅用として大量に輸入されています。
フルーティーな甘みを感じさせる香味が、ウイスキーの発酵槽としても好まれるんですね。
蒸溜器はオニオン型の初溜4基、再溜4基の計8基。蒸溜した原酒はおもにファーストフィルのバーボン樽に詰められます。
アードモアレガシーの価格とレビュー評価
アードモアレガシーはアルコール度数40度・700ml。
1年ほど前に紹介したときには最安値(税込)は2,400円ほどでしたが、記事アップ日(2020年12月13日)では2,500円ほど。やや値上がりの価格推移中です。
一般的な評価からまずはマイナスを指摘する感想をあげてみます
「シングルモルトとしての品はあるが、もう少しクドくて個性的な方が好き」
「値段に惹かれて買ったけど期待はずれ。でも好みの問題かも」
「もうちょっと出せばラフロイグが買える。その意味では中途半端」
「若い酒なのか、味は深くない。個性は強いので合わない人はダメかも」
「好き嫌いがある味。私には合わない。スモーキー好きには嬉しい味だと思う」
支持するレビューは以下の通りです。
「ストレートではアルコールがきついが、ハイボールならスモーキーな味と鼻から抜ける香りが最高」
「ここ何年もアードモアレガシー一筋。ちょっぴり樽の香りがして美味しい」
「いかにもハイランドモルトというクリームの香りがするが、香りは控えめ」
「思ったよりも癖がなく、飲みやすい」
「アイラモルトはたくさん飲めないが、これなら軽い口あたりでいける」
「少しだけくせがあって飲みやすくて美味しかった」
「コスパの高いウイスキー」
「スモーキーさはほどほどに、フルーティな味わいと上手く混じり合った感じ。ボウモアが好きな人にはおすすめ」
おいしい飲み方・ハイボールへのフロートで味の変化を楽しむ
おいしい飲み方のひとつとして、ハイボールへのフロートもおすすめです。
アードモアレガシーはティーチャーズのキーモルトなので、ティーチャーズでつくったハイボールにフロートしてみてください。
最初にシングルモルトのコクと香りを楽しんだあとに、ハイボールへの変化が楽しめます。
アードモア12年ポートウッドフィニッシュとの風味の違い
アードモアでは12年ポートウッドフィニッシュも販売されています。12年はアメリカンホワイトオークのバーボン樽で熟成後、ポートワインの樽で後熟させています。
12年熟成の深みのあるピーティーさと果実味、複雑さが特徴のモルトウイスキーです。こちらは容量700ml・アルコール度数は46度。
アードモアレガシーはバーボン樽主体、しかもノンエイジの40度なので、口にする印象はまったく別物と言えます。
12年の熟成物と比べれば、やはり味の深みに欠ける点は否めませんが、燻香主体に楽しめる人ならお気に入りになる一本です。
「ティーチャーズハイランドクリーム」が好きでキーモルトがアードモアだと知ってテイスティングしてみたという人も多いですね。
また、アイラ系のピートが苦手な方にも受け入れられやすくなっています。