アランモルト10年ウイスキー・白州に似ているフルーティ風味に特徴
「アランモルト10年(The Arran Malt 10 years old)」はスコットランド・アラン島北部のロックランザ(ロホランザ)にあるアイル・オブ・アラン蒸留所が造っているシングルモルトウイスキーです。
スコッチウイスキーを地域別に分けたとき、「アイランズモルト」と呼ばれる種類がありますが、アラン島もその中に含まれます。
アイランズとはスコットランドの北西側半分にある島々をさしていて、アラン島のほかはオークニー島、ルイス島、スカイ島、マル島、ジュラ島。
海に囲まれた地域なので、アイランズモルトには潮の香りを感じるものもありますが、そればかりではなく、島ごとに味わいが異なるのがおもしろいところなんですね。
たとえば、同じアイランズであるスカイ島のタリスカーは、スモーキーでコショウのようなスパイシーさと潮気があります。
オークニー島のハイランドパークは、骨太でシェリー樽熟成の濃厚さが特徴。
それにたいして、アランモルト10年はアラン島クライド湾の穏やかな環境もあり、スペイサイドやハイランド寄りの風味と評価されることが多いですね。
一般的にはスペイバーン10年とともに、ジャパニーズウイスキーのサントリー白州に似ている味と評価されています。
アランモルト10年の価格とレビューの評価
アランモルト10年はアルコール度数46度・700ml。あくまでも記事アップ日の最安値価格ですが、で、今日現在の最安値は3,600円前後。
タイミングによっては、同価格帯でロゴ入りグラス付きパックも購入できます。
10年熟成ということで価格に見合った味か、それ以上かという感想からの評価が多いですね。マイナスを指摘する感想はわずかにあります。
「やや重めの味わい、樽由来と思われる苦味、深みを感じることはできなかった」
苦味をあげる人は少ないので、このあたりは感じ方の個人差かもしれませんね。支持するレビューは以下の通りです。
「開栓した瞬間に甘酸っぱい香り。口に含むと、李(すもも)か梅のような味。マックミラのウイスキーを飲んだのを思い起こす」
「ほどよい甘さでとても美味しかった」
「フルーティーな香りで非常にまろやかな口当たり。果実のような甘さ」
「香りがエレガントで好き(女性)」
「アイランドモルトとは思えない、やさしさが好き」
「ちょっと別格なのに値段も手ごろ。言うことなし」
飲み方はストレートかロックがおすすめで、少し加水をすると飲みやすくなります。
アラン島の歴史とアイル・オブ・アラン蒸留所
アラン島は、グレートブリテン島本土とキャンベルタウンのあるキンタイア半島に囲まれたクライド湾の中にある、南北に細長い島です。
新石器時代のストーンサークルや立石遺跡が多く残されていて、マクリー・ムーアとよばれる立石遺跡やホワイティング・ベイの巨人の墓などが観光名所として知られています。
もともとアラン島は密造酒の産地として有名な場所で、かつては50近い蒸溜所があったとされますが、1836年を最後にすべての蒸溜所が閉鎖されました。
その後、シーグラム社やペルノー社といった世界有数の酒造メーカーで辣腕を振るっていたマネージング・ディレクター、ハロルド・カリー氏がプライベートな醸造所を持つためにこの島に注目。
アラン島北部のロックランザにアイル・オブ・アラン蒸留所が建設されたのは1995年のことでした。
同蒸溜所は独立資本のため、ほかの蒸溜所のように他社への原酒の供給は行わず、自社でのシングルモルトやブレンデッドのボトルを製造、販売しています。
アランモルトの製造法と種類
アランモルトの仕込み水はイーサンビオラック川を流れるロッホ・ナ・ダビーとよばれる湧水。
極小の2基の蒸溜器でゆっくり蒸溜しているため、生産量は大きな蒸溜所の30分の1ほどしかありません。
壜詰め前の冷却ろ過を行わない「ノンチルフィルタード」によって、香味成分を残しているので原酒本来の味わいが残っています。
アランモルトの種類は10年のほかに「12年カスクストレングス」「14年」「18年」があります。
そのほかに限定としてバーボン樽、シェリー樽のブレンド「ロックランザ・リザーブ」、オーク樽で熟成後、ソーテルヌの甘口貴腐ワインの空き樽で追加熟成した「ソーテルヌカスク・フィニッシュ」、イタリアのシチリア島で造られるマルサラワインの樽で追熟したシングルモルト「マルサラカスク」なども販売されています。