バーテンダーになるには?資格や勉強法とは
「バーテンダーになるにはどうやって勉強すればいいの?」と聞かれることがあります。バーテンダーという仕事をするのに資格は必須ではありません。
しかし、老舗のバーテンダー協会が認定する資格を取得しておくと、信頼感はあります。知名度の高いのが昭和4年に設立された「一般社団法人日本バーテンダー協会(N.B.A)」。
ここではバーテンダー呼称技能認定試験、さらに上級のインターナショナル・バーテンダー呼称技能認定試験という資格試験があります。
合格すると認定書・認定バッジがもらえるので、お墨付きが得られるわけですね。就職でバーテンダーとしてステップアップしていきたい場合には有利になります。
また、お客様との間で資格の話題が出る可能性もありますし、同業者との交流も考えると、本格的にやる場合には取得しておいたほうが無難ですね。
日本バーテンダー協会のホームページには受験資格とともに、どこからどのような問題が出るのかというような情報も載っていますので、事前の準備として参考にしてください。
技術だけでなく、経営ノウハウを教えてくれる学校も
まったくの初心者なのでイチから勉強したいという方には「日本バーテンダー&ミクソロジスト学院」のように、技術指導から卒業後の就職・開業まで相談に乗ってくれるような学校もあります。
経営も勉強したい場合は「日本パブ&バー経営専門学院」でお酒やカクテル作りの技法とともに、集客に繋がる経営ノウハウまで学べます。
勉強になる本としては「新バーテンダーズマニュアル」「カクテル大事典800」などがよく紹介されていますが、身近な先輩におすすめの本を聞いてみるのもいいと思います。
費用がない場合はとにかく現場に入れてもらう
費用がない場合や業界についてよく知らないという人は、とりあえずアルバイトでもいいのでお店に入ることです。
バーテンダーがダメならホールスタッフになって先輩から情報収集したり、希望を伝えてチャンスを伺ってみたりしましょう。私がやっていた店では幸運な人の場合、店側がイケメンと判断するとバーテンダーに登用してくれるという例もありました(笑)。
経験者の情報はとても役に立つので、年長者やレベルの高いバーテンダーの先輩の話を聞くのがおすすめです。
バーテンダー体験談・必要な知識は現場で
私がバーテンダーを選んだのは、食べていくためでした。当時、モノを書く職業に憧れてシナリオ教室にも通っていたため、収入が必要でした。
結果的にはそれがきっかけで、その魅力にどっぷりはまりこんでしまうことになるわけです(笑)。
私が面接に向かったのは東京・新宿にある、大きなカウンターがいくつも店内にあるパブ。フレアバーではなく、オーソドックスなバーです。
「社員になったらバーテンダーになってもらう」と言われたとき、「自分もシェーカーをカッコよく振ってカクテルをつくってみたい」という気持ちが芽生えてその店の社員になりました。
蝶ネクタイに黒いベストという服装も都会的でした。とはいっても、まったくの素人。まずはいちばん大きなメインカウンターに入って、グラス洗いや先輩のサポートをしました。
高いレベルを目指している先輩に学ぶのが近道
私よりも2つか3つくらい年上の先輩は、「ホテルマンとして働きたい」といつも語っている人で、店長とともに日本バーテンダー協会の資格を持っていました。
資格を持っている人は身のこなしやたたづまいが違います。どんな仕事にも言えることですが、目標としている世界がずっと上にあるからこそ、「このくらいでいいや」というレベルで仕事をしていないんですね。
仕事への自信から背筋がピンと伸びていて、少々のことでは動じず、広い目線で接客をしていました。
私はそのような人たちにかこまれて、幸運にも現場でたくさんの勉強をさせていただき、最初は先輩の真似ばかりしていました。
のちに先輩方が辞めたことで、私がメインカウンターを任されるようになりました。そうなると、自分らしい接客とか、後輩の良さを引き出すにはどうすればいいか、などを自然に考えるものなんですね。
バーテンダーの勉強はやはり現場で対面から学んだことがいちばんだと思います。頭で覚えるよりも緊張感のなかで積み重ね、培われた体験は忘れないものです。
その後、店の若者たちはそれぞれに自分の道をたどり、どこかの土地で暮らし、交わる機会もなくなりました。店付近の街並みもすっかり変わりました。
店先で彼らと飲んでいたウイスキーの銘柄を見かけたので、試しに買って10年ぶりくらいに飲んでみたら、好みとはまるで違っていました。
味が変わってしまったのか、私が変わってしまったのか。時の流れはときに切ないものですね。