ベンリアック10年 2種類のモルトを造る個性派蒸留所
「ベンリアック10年(BenRiach Aged 10 Years)」はスコットランド・スペイサイド地域のエルギン地区にある、ベンリアック蒸溜所が造っているシングルモルトウイスキーです。
1898年に設立された同蒸溜所の特徴は、古くから「ノンピートの大麦麦芽」と「ピートを使用した大麦麦芽」の2種類のタイプのシングルモルトウイスキーが造られていること。
また、現在では希少となったフロアモルティングを年に2回おこない、熟成と仕上げにシェリー、ラム、マルサラ(イタリアのシチリア島で生産される度が高いデザートワイン)、赤ワインなど30種類以上の樽を駆使する革新性でも高い評価を受けています。
10年スタンダードとキュオリアシタスの違いとは
10年には「ベンリアック10年」「キュオリアシタス10年(クリオシタス)」の2種類があり、ボトルデザインが似ています。
それぞれノンピートとピート強めなので、個性が違います。初めて購入する方は「ピート」の表示にご注意ください。
「ベンリアック10年」はバーボン樽原酒とシェリー樽原酒に、わずかにアメリカンオークやフレンチオークの新樽原酒をマリッジさせています。そのため、スペイサイドモルトらしいフルーティーさや甘みにスパイス感が感じられます。
「ベンリアック キュオリアシタス10年」は自家製麦したスペイサイド産のヘビーピートモルトが使われています。ピートレベルは55ppmとかなり高いので、お好きな方はかなり楽しいレベル。
こちらはわずかな苦味のある煙臭と、麦芽の甘みの調和を味わえます。「キュオリアシタス」とは好奇心の意味ですが、スペイサイドでは珍しい味わいです。
12年が終売、親会社やマスターブレンダーが刷新
蒸留所を所有するベンリアック・ディスティラリー社は2008年にグレンドロナック蒸留所を買収しますが、その後、2016年にまとめてジャックダニエルのブラウンフォーマン社に買収されています。
ベンリアックはもともと「クイーンアン」「サムシング・スペシャル」などブレンド用の原酒向けが多く、入手困難でした。シングルモルトのオフィシャルボトルが発売されたのは、つい最近の1994年なんですね。
熟成表記のある12年は「12年シェリーウッド」「12年ホライズンズ(ホライズン)」があり、とくにシェリーウッドは今も人気ですが、2017年に生産中止で終売となっています。
10年とキュオリアシタスの価格とレビューの評価
ベンリアック |
参考小売価格(消費税別) |
通販販売店の 最安値価格(税込) |
10年スタンダード (43度・700ml) |
5,190円 | 3,600円ほど |
キュオリアシタス10年 (46度・700ml) |
5,330円 | 4,000円ほど |
12年シェリーウッド (46度・700ml) |
終売 | 6,200円ほど |
12年ホライズン (50度・700ml) |
終売 | 8,300円ほど |
ベンリアック10年はアルコール度数43度・700mlで、日本の輸入元アサヒビールで定価の目安となる参考小売価格(消費税別)を見ると5,190円。
あくまでも記事アップ日の時点での最安値(税込)ですが、3,600円ほど。
キュオリアシタス10年はアルコール度数46度・700mlで、参考小売価格(消費税別)が5,330円。
こちらも記事アップ日の時点での最安値(税込)は4,000円ほど。価格高騰はなく、今のところコスパの高い銘柄です。
10年定番の一般的な評価からまずはマイナスポイント。「余韻が短い。シェリーウッドのほうが好き」という感想があります。100%シェリーウッドと比べてしまうとそんな印象になるかも。
支持するレビューには「甘い蜂蜜とりんごや果物の香りが華やか」「ハイボールで楽しむと香りが開いておいしい」など。
支持する評価が多いのはキュオリアシタスでマイナスの感想はなく、「3000円でアイラに負けない本物のピーテッドモルトが飲めて感激」「味の核が全くぶれないのが凄い。水割りでも美味しく頂けた」「スモーキーで甘味のある味が大好き」「最初甘く、最後は辛い特殊な味わい」などがあります。
親会社がジャックダニエルのブラウンフォーマン社に変わったことで、同蒸留所には大きな変化があるようです。
高品質な樽が確保できるようになり、2017年3月からはグレンモーレンジィ社のマスターブレンダーをしていた女性、レイチェル・バリー氏がマスターブレンダーになりました。今後が楽しみですね。
ベンリアックの意味
ベンリアックだけでなく、ベンネヴィス、ベンリネスなどBenの名前がつくスコッチは多くありますが、ベンとは「山」を意味するゲール語からきています。
また「Riach」は「傷のある」という意味があり、ベンリアックは「灰色がかった山」「まだら模様の山」の意味になるそうですが、蒸留所周辺に山はないんですね。
ただし、ちょっと綴りの違うBen Reochという山は存在します。蒸留所があるスペイサイドよりもかなりはなれたハイランドの南東にあるロッホローモンドの西岸。
こちらはYouTubeでも英語名で検索すると見られます。たしかに、草と岩が中心のまだらな山のようですが、蒸留所との関係はまだはっきりと言及されてはいないようです。