ビッグピートの種類からクリスマスカスクストレングス・RAF・アイラフェス・ヴァタータグエディションを解説
膨大な樽を保有する名門ボトラーの「ダグラスレイン社」が販売している、アイラモルトのみ4種のバッテッドウイスキー「ビッグピート(Big Peat)」の種類から人気銘柄を紹介します。
ビッグピートの種類は数多いので、今回はクリスマスエディションカスクストレングス、RAFエディション、アイラフェス記念ボトル、ヴァタータグエディションを紹介しましょう。
ビッグピートの熟成表記ボトル・日本限定銘柄の解説は別記事にありますので、参考にしてください。
限定ボトルは少しずつレシピは変わっていますが、アードベッグ、ボウモア、カリラ、ポートエレンの原酒を使うこと、ノンチルフィルター、無着色といった基本的なコンセプトに変更はないようです。
ラベルに描かれたピートおじさんは2019年で10歳の誕生日を迎えたという設定のようですが、おじさんなのに10歳とは(笑)。
「クリスマスエディションカスクストレングス(Big Peat Christmas)」
ビッグピートの「クリスマスエディションカスクストレングス(Douglas Laing's Big Peat Christmas)」は2011年に初リリース。
カスクストレングスを味わえるということで人気になりました。かろうじてデータが収集できるクリスマスエディション2016からいきましょう。
クリスマスエディション2016はアルコール度数54.6度・700mlで、記事を作成した今日現在の安い価格帯で税込8,400円ほど。
暖炉の前に座っているピートおじさんがラベルデザインとなっています。
クリスマスエディション2017はアルコール度数54.1度・700mlで、記事を作成した今日現在の安い価格帯で税込8,300円ほど。
こちらのラベルは故郷のアイラ島で髪や髭を凍らせながら、襲い来るブリザードに耐えるピートおじさんが目印です。
とはいえ、2016と2017はもはや品切れのようで、現在、日本の通販で在庫があるのは2018と2019ボトルだけのようですね。
クリスマスエディション2018はアルコール度数53.9度・700mlで、記事を作成した今日現在の安い価格帯で税込7,700円ほど。
サンタクロースに扮したピートおじさんが、窮屈そうに煙突から入ろうとしているラベルですが、ビッグピートの風味の特徴のひとつである「煙突の煤のような風味」というニュアンスも込められているとか。
クリスマスエディション2019はアルコール度数53.7度・700mlで、記事を作成した今日現在の安い価格帯で税込6,800円ほど。
ピートおじさんが自分で樽を選び、その樽をアイラ島の倉庫から転がしながら運び出している姿が描かれたラベルが目印です。
「RAFエディション(Big Peat's RAF Edition)」
ビッグピート「RAFエディション」はアルコール度数46度・700mlで、記事を作成した今日現在の安い価格帯で8,200円ほど。
RAFとは英国王立空軍(Royal Air Force)のことで、現在でもRAFの元隊員や家族に対して献身的な支援を続けているRAF慈善基金が存在しています。
この基金が100周年を迎えた記念にリリースされたチャリティーボトルがこちらなんですね。
ダグラスレイン社の創業者であるフレッド・ダグラス・レイン氏も第二次世界大戦中にはその一員として飛行していたとのこと。
そのような縁からボトルが1本販売されるごとに5ポンドが、ダグラスレイン社を通じてRAF慈善基金へ寄付されます。
ラベルのピートおじさんが身に着けているのは設立当時のRAFの制服。
後ろではソッピースキャメル(戦闘用飛行機の一種)が、メモリアルイヤーの書かれた横断幕を引いています。
「アイラフェス記念ボトル(Big Peat's Feis Ile)」2018と2019
「アイラフェス記念ボトル(Douglas Laing Blended Malt Big Peat's Feis Ile)」シリーズは年に一度のモルトと音楽の祭典・アイラフェスのために用意された限定ボトルです。
2018年5月に行われた「アイラフェス記念ボトル2018」はアルコール度数48度・700mlで、記事を作成した今日現在の安い価格帯で税込9,400円ほど。
箱にアイラ島の名所やウイスキーのイラスト、ビッグピートのイラストシールが入っていて、購入者が自分の好みでボトルや箱をデコレーションできるようになっています。
翌年の2019年にも「アイラフェス記念ボトル2019」がリリースされました。
こちらはアルコール度数48度・700mlで、記事を作成した今日現在の安い価格帯で税込8,400円ほど。
世界中のビッグピート「パル(仲間)」400人の顔写真がボトルチューブにあしらわれています。
事前にビッグピートファンにオンラインコンペを通じてセルフィーの投稿を呼びかけて、集まったものが使われているようですね。
日本で現在、通販在庫があって流通している「アイラフェス記念ボトル」は2018年と2019年。
ファンの顔写真がプリントされているのが2019年ボトル、顔写真がないものが2018年ボトルなので間違えないようにしてくださいね。
「ヴァタータグ エディション2019(Big Peat Vatertag Edition)」
「ヴァタータグエディション2019(Vatertag Edition)」はアルコール度数48度・700mlで、記事を作成した今日現在の安い価格帯で税込8,000円ほど。
ヴァタータグ(Vatertag)とは、ドイツ語で「父の日」という意味。
ラベルはアイラ島の荒涼感のある風景をバックに、ピートおじさんが風船をつけた自転車をこいでいるという、ちょっと哀愁さえ感じるデザインです。
アイラ島のウィスキーの特徴は燻製香の強い独特のピート、微かなヨード香にあります。
ピートは地元の植物の堆積と泥が混ざって炭化した泥炭と呼ばれるものを使いますが、このほかにも仕込み水に使うアイラ島の川の水も関連があります。
海岸付近の水なので海藻や貝殻などの成分も混ざり、それらが味わいに大きな違いを生み出すわけですね。
ビッグピートのおもしろさは、ブレンドされている4つのモルトのどの主張が強いかが人によって微妙に違ったりすること。
アードベック以外は比較的若い原酒が使われているようなので、樽感を楽しむよりもアイラモルトそのものを楽しみたい方向けに、ちょっとしょっぱくて味わい深い逸品です。