ピートを使わず空気乾燥、スモーキーさのないアイリッシュウイスキー
「ブッシュミルズブラックブッシュ(Bushmills Black Bush)」は北アイルランド東北部のアントリム州にある町ブッシュミルズにあるオールドブッシュミルズ蒸溜所が造っているアイリッシュウイスキーです。
1850年代に麦芽税が導入されると、多くの蒸溜所は税負担の増加を嫌って、原料に未発芽大麦を使用するようになりましたが、ブッシュミルズは大麦麦芽(モルト)にこだわり続けています。
また、大麦の製麦もスコッチのようにピートを炊いて燻すのではなく、自然に空気乾燥させるため、スモーキーな風味はありません。
さらに、アイリッシュの伝統的な製法であるおなじみの3回蒸溜。これらの製法によって刺々しさがなく、穏やかな香りの口当たりが特徴となっています。
ブッシュミルズのスタンダードとブラックブッシュとの違い
ブッシュミルズにはさまざまな種類がありますが、今回はスタンダードとブラックブッシュとの違いを解説します。
両者ともに3回蒸溜、同じモルトウイスキーとグレーンウイスキーのブレンデッドウイスキーという点では同じですが、モルト比率と熟成樽に違いがあるようです。
スタンダードはバーボン樽熟成の原酒のみを使用していて、全体におけるモルト比率は約50%。そのため、バニラやキャラメルの香りが特徴です。
ブラックブッシュはスタンダードよりも長い、最長7年かけてシェリー樽とバーボン樽で熟成させたモルト原酒を80%以上の比率で使用。グレーンウイスキーも少量生産のリッチなタイプを合わせています。
そのため、スタンダードよりも色が濃く、アプリコットのような果実香とアーモンドのようなナッツ風味が特徴で、後味にはブッシュミルズらしい、やさしい味が残ります。
ブッシュミルズブラックブッシュをテイスティング
ブッシュミルズブラックブッシュを私なりにテイスティングしてみました。
まず、外観の印象。スタンダードはスクリューキャップですが、こちらはコルク。箱もアイラのシングルモルトを意識したようなデザイン性の高さを感じます。
手ごろな値段ながらも高級感を漂わせているので、プレゼントにはいいかもしれません。
開栓してみると、木香の強さに期待が高まります。ストレートで飲んでみると、スタンダードよりもモルトの味の深みが前に出ています。
果実感があって甘味が強く、樽の渋みも感じます。ハイボールにすると個性は軽減してしまいますが、果実感、樽の渋みはうっすらと残ります。
ストレートでもハイボールでもノンピートでここまでやれるのか、とアイリッシュウイスキーの立ち位置に驚かされますね。
とはいえ、個人的にはスコッチ寄りの風味のジェムソンが好みかも。
ブッシュミルズブラックブッシュの価格
「ブッシュミルズブラックブッシュ」はアルコール度数40度・700mlで、記事アップ日(2021年11月3日)の時点での価格は送料入れずに税込2,100円ほど。
スタンダードは40度・700mlで記事アップ日の時点で税込1,600円前後なので、コストパフォーマンスに優れたブラックブッシュのほうをおすすめしたいところです。
ちなみに、両者ともにこのブログで初めて紹介したのが2018年10月上旬。以来、価格推移はなく安定した銘柄と言えそうです。
ブッシュミルズブラックブッシュの口コミ評価
一般的な評価からまずはマイナス評価を指摘する感想をあげてみます。
「価格相応かもしれませんが、よいウイスキーと交互に飲むといまいち」
「ロックや水割りだと苦味が出る気がする」
「香りが弱く、味が薄い」
「味も香りも可もなく不可もなく」
続いては支持するレビュー。
「価格帯としては廉価の部類に入るが、まずまずいける」
「スコッチウィスキー等の独特な癖がないアイリッシュはスッキリした感じ。だが、伝統に裏打ちされた個性を感じる」
「甘すぎず、ツンとした辛さも強すぎず、香りも良い」
「同価格帯のスコッチよりもスムースでライト。ストレートやロックで美味しくいただきました」
「普段飲みにはこちらの方がちょうどいい感じ」
ブッシュミルズの3種類(スタンダード・10年・ブラックブッシュ)を飲み比べている方も何人かいらして、「一番バランスが取れている」「気に入った」というレビューも多いですね。
ただし、アイリッシュウイスキーに慣れていない方の中には、香り、風味ともにもっとはっきりした主張がほしいという感想もあるようです。
裏を返せば、クセがなく香りも控えめで無難においしいブッシュミルズならではとも言えます。
初アイリッシュウイスキーの人でも気に入る人はいます。高評価の方も多いので、個人的な風味の好き嫌いに左右されやすい銘柄です。
飲み方としてはロックかストレートがおすすめです。寒い日にコーヒーに入れてアイリッシュコーヒーも楽しんでみてくださいね。