クラフトジンの定義とはなにか
クラフトジン(Craft Gin)は近年、新しい流れとして注目されている「少量生産で強いこだわりを持って造られる」のが特徴のジンです。
craftには職人が手作業で細心の注意を払って作るという意味がこめられていて、「クラフトビール(Craft Beer) 」なら職人技のビール、手作りのビールなどを意味します。
ウイスキーのように法律で決まった定義はありませんが、クラフトジンを名乗ってリリースする以上、原料、ベーススピリッツの種類、蒸留や製造法にどんな独自性があるのかが各蒸留所のアピールポイントになります。
これまでジンといえば、大手メーカーが大量生産で造る銘柄が主流でしたが、現在はイギリスを中心としたヨーロッパ諸国や日本、アメリカなど、世界各国で造られるようになりました。
特徴は小規模蒸留所が参入しやすく、個性が出しやすい点
その背景にはジンならではの製造法が関係しています。ジンはウイスキーのように貯蔵して熟成しないのが一般的で、比較的早く短期間で造れるのがメリットです。
資金も最小限で済み、熟成せずに造ってすぐに販売できるため、小さなクラフトジンの蒸留所が参入しやすいんですね。
もちろん、個性派クラフトジンのなかには熟成タイプもあります。アメリカン・オークの新樽で約3ヶ月熟成させた「キュロコスクエ フィンランド ジン」、古い陶器で熟成される「MONKEY 47」、アメリカン・ホワイト・オーク樽で約6 ヶ月以上熟成させた「コーヴァル バレルド・ジン」などの銘柄です。
クラフトジンの歴史は始まったばかり
はじまりは2009年、イギリスで創業した「Sipsmith シップスミス」。伝統的な銅製小型蒸留器を使用した少量生産の「シップスミス ロンドン・ドライ・ジン」の生産を始めました。
厳選した10種のボタニカルを世界中から集めてつくられ、流通しているジンの中でも特出してドライな味わいを造り出しました。
「シップスミス ロンドン・ドライ・ジン」の反響は大きく、以降、クラフトジンが世界的ブームとなり、新規参入の蒸留所が急増します。
日本初の国産クラフトジンやおすすめ人気銘柄、選び方は
やがて、日本初の国産クラフトジンも誕生。ジンの本場であるイギリス生まれのデービッド・クロール氏が、ドイツから輸入した蒸溜器をはじめとした設備を導入した京都蒸溜所で、オリジナルブランド「季の美」を造り、2016年に販売しました。
「季の美」の成功により、その後、大手メーカーや酒蔵会社も自社の培ってきた技術や設備を活かせる強みから、相次いでクラフトジンへ参入。
「岡山」「サントリー六」「ニッカカフェジン」「桜尾」「樹々」「和美人」「KOZUE」「こころ」など、日本でも人気銘柄が次々と誕生することになりました。
初めての方は一般的な人気が高い、これらのボトルがおすすめです。選び方は原料がご自分の好みに合うかどうか、さらにベーススピリッツをチェックしてください。焼酎が苦手な方が焼酎ベースのジンを飲むのは、ちょっと辛いかもしれませんので。
作り方の自由度が高く、種類が豊富
ジンは発酵させたアルコールを沸騰させて蒸気を集め、蒸留して製造します。その工程でジュニパーベリー(杜松ねずの実)を基本にオレンジピール、コリアンダー、キャラウェイ、フェンネルなどの草の根や木の皮などといった多くのボタニカルで香りづけします。
ジュニパーベリーを使用すればGin ジンの定義を満たせるため、クラフトジンはボタニカルに自由度があり、多彩な個性を主張できます。
希少な地域特有のスパイス、オーガニック、日本なら和食に合うお茶、ゆず、山椒などの伝統的なボタニカルが使われています。
さらに、ベースとなるスピリッツの自由度も高いため、米焼酎ベース、芋焼酎ベース、ウオッカベースなど、とくに大手メーカーでは自社の得意分野で勝負する傾向が強いのが特徴です。
評価は飲む人の好みに左右されやすいだけに、自分だけのおいしいジンを見つけてくださいね。