ダグラスレイン社ウイスキーの種類・ティモラス、ダブルバレル、XOPなど
ダグラスレイン社(Douglas Laing)は1948年にグラスゴーで設立されたボトラーですが、その前身となった会社の歴史は1800年代後半にまで遡ります。
グラスゴーはスコッチの産地ではローランド地方に含まれます。
もともとアメリカを主な取引先とする海運業者だった同社は、ブレンデッドウイスキーの需要が爆発的に高まった時期に、スコッチのブレンデッドウイスキーの輸出業に進出。
その時のストックを原点として、ダグラスレイン社の歴史が始まっています。
品質に妥協せず、瓶詰、梱包まで管理する老舗ボトラー
のちに閉鎖され、伝説となるポートエレン蒸留所の原酒がフレッド氏のお気に入りのシングルモルトでした。
そこでポートエレン蒸留所の原酒を買いためるわけですが、これがのちに「Port Ellen The Final Vintage」シリーズとしてボトラーの地位を確立していく契機となるわけですね。
その後、息子さんふたり(兄スチュワート・レイン氏と弟フレッド・レイン氏)が加わり、同社は家族経営の会社として品質管理、倉庫での瓶詰、梱包まで一貫したスタイルを築き上げます。
ブレンデッドウイスキーの生産者でもあるため、シングルモルトとしての基準に満たさない樽はすべてブレンデッドウイスキーへ回されます。
ボトラーの中でも膨大な樽を保有していることで知られる同社は、多くの樽のなかから選び抜いた原酒を無添加・無着色・ノンチルフィルターで提供しています。
2013年になると、二人の兄弟はそれぞれの後継者のために分社をします。
兄のスチュワート氏は新しくハンターレイン社を立ち上げ、それまでダグラスレイン社のメインシリーズだった「オールド・モルト・カスク」や「オールド&レア・プラチナム」を引き継ぐことに。
弟のフレッド氏がダグラスレインの会社名を引き継ぎ、現在ではフレッド氏、娘さんのキャラ氏、夫のクリス・レガット氏によって運営されています。
ティモラス・ビッグピート・スカリーワグ・ロックアイランドのRRMシリーズ
そんなダグラスレイン社が日本でいちばん知られているのは「リマーカブルリージョナルモルト(Remarkable Regional Malt)」シリーズ。
「注目の生産地域別モルト」で、スコッチの名産地にちなんだ複数の蒸溜所で作られたモルトのみを混合して作られたヴァッテッドモルトウイスキーです。
ハイランドモルトが中心の「ティモラスビースティ(Timorous Beastie)」、アイラモルトが中心の「ビッグピート(BIG Pete)」、スペイサイドモルトが中心の「スカリーワグ(Douglas Laing's Scallywag)」、アイランドモルトが中心で「ロックオイスター(Rock Oyster)」からラベルチェンジした「ロックアイランド(Rock Island)」、ローランドが中心の「ザ・エピキュリアン(The Epicurean)」などをリリースしています。
本サイトでも銘柄別に取り上げているので、参考にしてくださいね。
また、ダグラスレイン社70周年を記念した超限定品として、リージョナルモルトシリーズの各ブランドが代表するスコットランドのウイスキー全生産地域のシングルモルトがブレンドされた「ダグラスレイン・リマーカブルリージョナルモルト10年」も販売されました。
「ダブルバレル」もダグラスレイン社のヴァッテッドモルト
このほかに、同社にはヴァッテッドモルトの人気シリーズ「ダブルバレル(Douglas Laing's Double Barree)」があります。
ダブルバレルは「2つの蒸留所の原酒だけでおたがいの良さを最大限に引き出す」というテーマのヴァッテッドモルトウイスキー。
一般的には4、5種類の蒸留所の原酒をブレンドして作るのがヴァッテッドモルトの常識と言われますが、卓越したブレンド技術をもつ同社ならではのシリーズです。
アイラ蒸留所「ボウモア」とスペイサイド蒸留所「クレイゲラヒ」の組み合わせなど、アイラモルトとスペイサイドモルトの組み合わせが多いのが特徴となっています。
オールドパティキュラー(OP)・XOPとは
とはいえ、同社のメインブランドは本来、選抜したシングルモルト。銘柄は「オールドパティキュラー(OP)」シリーズとしてリリースされています。
48.4度や51.5度というこだわりぬいた度数を選定して、原酒のポテンシャルを最も発揮できるタイミングでボトリングされたブランドなんですね。
さらに、その上位版として中でも飛び抜けた品質のものが、ほんの一握り「エクストラオールドパティキュラー(XOP)」としてリリースされています。
カスクストレングスの長期熟成アイテムなので、ここまでいくと価格面で手が出にくいという場合もありますね。
その場合には、蒸留所ごとの個性をしっかり出しながらも、アルコール度数46度まで加水してリーズナブルになった「プロベナンス」シリーズもあります。
蒸留所のオフィシャルボトルと飲み比べてみてください。