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エドラダワー10年 甘さとミルキーさが特徴のシェリー樽熟成

エドラダワー10年 甘い香りとミルキーさが特徴

「エドラダワー10年(Edradour 10 Year Old)」はスコットランドの南ハイランド地域にあるエドラダワー蒸留所が造っているシングルモルトウイスキーです。

 

スタンダードボトルの10年はシェリー樽熟成による「甘い香りとクリーミーでとろけるような舌触り」が大きな特徴。そこに麦芽由来の香味もバランスよく溶け込んでいます。

 

エドラダワー銘柄は旧ボトルではパヒューム香(化粧香)が個性でしたが、10年は抑えられています。とはいえ、ほんのり石鹸感を感じる人もいます。

 

少数ですがこの香りが苦手という人もいます。また、購入したボトルによって風味に差があり、飲んだときの印象が変わることもあります。これも少量生産ボトルの楽しみのひとつなのかもしれませんね。

 

エドラダワー蒸留所の画像
エドラダワー蒸留所

旧ボトル・カスクストレングス・イビスコシェリー2002・2006などの銘柄も

エドラダワーは1998年以前、ブレンデッドウイスキー「ハウスオブローズ」のキーモルトとしてほとんどが使われていたため、入手困難なシングルモルトでした。

 

それが、シングルモルトの安定供給を目的として90年代に原酒が買い戻され、ハウスオブローズが終売となるとともにシングルモルトも供給されるようになりました。

 

愛飲家には香りが強かった頃のオールドボトルやカスクストレングス、イビスコシェリー2002、2006アンチルフィルタードなどの銘柄を求める方もいます。

エドラダワー10年の価格とレビューの評価

エドラダワー10年はアルコール度数40度・700mlで、あくまでも記事アップ日の価格ですが最安値(税込)は4,300円ほど。

 

一般的な評価では甘い香りのスコッチが苦手な方にはちょっと無理なようですね。「香りが好みではない」「甘い香りは良いですが、やっぱり私はバーボン派」となってしまうようです。

 

支持するレビューでは「ほっとするような、やわらかな舌触りと甘い香りのやさしいモルト」「甘くバニラにも似た香りがたまりません」「香りが良くて味もまろやか」など、後味のミルキーさが高評価。

 

口に合わないようなら、しばらく置いておくことでクセもやわらぎます。バニラアイスにかけたりしてもいいですね。

エドラダワーの意味と蒸留所の歴史

エドラダワーの意味は語源が2説。ひとつは「スコットランド王エドレッドの小川」で、もうひとつは「2つの小川の間」という説です。

 

たしかに、蒸留所はエドラダワー川のほとりにあり、付近にはキネアード川も流れています。

 

同蒸留所はかつてスコットランドで一番小さな蒸留所と呼ばれていました(関連記事は後半参照)。地元の農夫が共同でアソール公の領地を借用し蒸溜所を作ったのがその始まりなんですね。

 

依頼、製法・サイズも創業当時とほとんど変えず、フロアーモルティング以外のすべての工程を小さな敷地内で少人数のスタッフが行っています。

 

仕込み水は近くのベンヴッラキー山の湧き水を利用。年間生産量は年間11万リットルほどで、グレンフィディックが3日で造る量を1年かけて造る計算になるのだとか。

 

エドラダワー蒸留所のポットスチルの画像
エドラダワー蒸留所のポットスチル

世界で人気のエドラダワー蒸留所の魅力。貴重な設備も残存

とくに注目されるのは、糖化(マッシング)の過程において、スコットランドで現在「モートン式ワーツクーラー」を使っている唯一の蒸留所であること。

 

糖化が終わった温度60度の麦汁(ワート)は、マッシュタンから濾過抽出したあとに、20度前後に冷却されます。次の段階で酵母を投入するとき、高温では酵母が死んでしまうためです。

 

このとき、現代ではヒートエクスチェンジャーと呼ばれる装置が冷却に使われます。垂直型のラジエーター方式で省スペースがメリットなんですね。

 

それにたいして、昔ながらの方法は電気を使わないエコな「モートン式ワーツクーラー」。オープンワーツクーラーとも呼ばれますが、水平式の装置そのものが傾いているので自然に流れるうちに冷える仕組みです。

 

昔ながらの製造法とこじんまりとした環境が人を惹きつけるらしく、グレンタレット蒸留所に次いで2番めに観光客の多い蒸留所。日本でも知ってる人は知っています。

 

同蒸留所は2002年にペルノ・リカール社からボトラーズのシグナトリー社が買収。これを機にボトルやラベルが一新されました。

 

ハイランドの画像
Heathland ハイランド

スコットランドで一番小さな蒸留所はどこ?

エドラダワー蒸留所はスコットランドで一番小さな蒸留所という情報がありますが、実はさらにそれより小さな蒸留所があります。

 

それが北ハイランドにあるロッホユー蒸留所。でも、法律で定められている最小のサイズがエドラダワー蒸留所の1800リットル。それ以下のサイズは密造防止のために法律で禁止されているので、違法では?

 

それが違うんですね。実はオーナーが政府の役人や弁護士を通して交渉した結果、「地域経済の振興のため」という特例で許可が降りたのだとか。

 

実際にこちらも見学ができますが、あえて怪しい雰囲気の演出をしたり、ひょうたん型の小さなポットスチルがあったりと、手作り感満載でこちらも人気の蒸留所なんですね。

 

シングルモルトを探してみましたが、さすがに通販では入手できないようです(笑)。