「フォアローゼズ(Four Roses)」はアメリカ合衆国ケンタッキー州ローレンスバーグにある、フォアローゼズ蒸留所(キリン傘下)が造っているバーボンウイスキーです。
【追記】現在日本で販売されているフォアローゼスはキリンの御殿場蒸溜所でボトリングされているそうです。
ポール・ジョーンズ・ジュニア氏による創業は1888年。当時は同州のルイヴィルにあったフォアローゼズ蒸留所で製造されていました。
名前の由来には彼が南部美人に一目惚れしてプロポーズしたことに始まります。
彼女はプロポーズ受諾の証として、4輪の深紅のバラのコサージュを胸に舞踏会に現れたことから、2人の出会いを永遠にというロマンチックな願いがこめられています。
その後、1920年から1933年まで禁酒法の期間にも政府の特別許可を受けて、「医師の処方による薬用バーボン」という名目で合法的に製造を続けられた蒸留所のひとつです。
ちなみに、そのような事業者にはフォアローゼズ蒸留所のほかに、アーリータイムズ蒸留所、フィッツジェラルド蒸留所(スティッツェル・ウェラー社)、バッファロートレース蒸留所(旧エンシェントエイジ蒸留所)があります。
とはいえ、フォアローゼズ蒸留所は第二次世界大戦でウイスキーの生産がストップして売却されてしまいます。
1943年になると、カナダの「ジョセフ・E・シーグラム社(現・シーグラム)」が買収。ローレンスバーグの「オールド・プレンティス蒸留所」にルイヴィルから拠点を移して「フォアローゼズ蒸留所」と改めて生産を開始、現在に至ります。
ちなみに、この蒸溜所は設立が1910年でスパニッシュ・ミッション・スタイルと呼ばれる様式の建物。
18世紀から行われたスペインからのカトリック伝道の拠点となったミッション(修道院)の建築様式にちなむものなんですね。
カリフォルニア州の太平洋沿岸「El Camino(王の道)」と呼ばれる要路にそって伝道所施設が点在しています。ケンタッキー州にあるのは珍しく、アメリカ合衆国国家歴史登録財にもなっています。
フォア・ローゼズの種類について解説しましょう。まずは主要となる4種類。正規代理店のキリンを通して日本で流通している、それぞれの特徴をあげてみます。
「フォアローゼズ(Four Roses)40度」
以前はイエローラベルと呼ばれたスタンダード商品。2017年4月にパッケージがリニューアルされて、ラベルが黄色から肌色になり、緑のバーは茶色に変更されてマスターディスティラーのサインがあります。ボトルネックにも4つの薔薇。さらに、キャップは緑から茶色に。アルコールの後味が強く、好みは分かれます。
「ブラックラベル(Black Label)40度」
通称、黒。フォアローゼズよりもやや長めの熟成にこだわった上位商品。ポール・ジョーンズ氏が自分のために作ったレシピだとか。
定番との違いは甘さが際立ち、深みが増してまろやかなこと。日本限定ボトルでフォアローゼズのシリーズではいちばんファンが多いですね。飲み方はロックかストレートがおすすめ。
「プラチナ(Super Premium)43度」
数量に限りのある、長期熟成原酒のみを使用したフォアローゼズの最上級品。
「シングルバレル50度(Single barre)」
マスターディスティラーが香りと味わいを持つ、特別な樽(バレル)を厳選。ひとつの樽からわずか235本というボトリング。
熟成庫の番号や樽の位置が手書きされ、愛情がこめられた逸品。
このほかに限定品で以下のラインナップがあります。
「スモールバッチ(Smallbatch)45度」
2006年ケンタッキー州内限定発売。樽同士をブレンドせず、熟成のピークに達したひと樽のみを瓶詰め。「マスターディスティラーのメローチョイス」と呼ばれるほど、甘さやフルーティーさが際立つ樽が選ばれています。
「スモールバッチ リミテッドエディション(Smallbatch Limited Edition)」
毎年9月に米国で開催されているバーボンフェスティバルの時期に、数量限定で世界的に販売されている人気商品。
・2008年にはブランド誕生120周年記念「マリアージュコレクション(Mariage Collection 2008)50度」
・2013年には「125周年アニバーサリー(125th Anniversary)」
・そのほか、通常表記の2016・2017などあります。2018年の情報はこれからですね。