ジーニージンとベツァオバーントジンの違いはベーススピリッツ
「ジーニージン(Giny Gin)」「ジーニーベツァオバーントジン(Gini Bezaubernd Gin)」はオーストリアにあるワイナリー兼蒸留所「ヴィータシュタイン」が造っているクラフトジンです。
「ジーニージン」は年間生産数800本という超スモールバッチのジンで、日本での流通もごくわずかです。
Ginyという綴りのほかに、ベツァオバーントジンでも使われているGiniという綴りが使われているラベルも目にしますね。
ジーニージンとベツァオバーントジンの違いはベーススピリッツ。ジーニージンはワイナリーの特徴を活かした葡萄のベーススピリッツが使われています。
ワイナリー兼蒸留所の特徴を活かしたグラッパに漬け込む
単式蒸留器で葡萄の絞り滓を2回蒸留することで、まずはアルコールベースのグラッパ(イタリア特産の蒸留酒)を生産。
そのグラッパにボタニカルを2週間漬け込み、ボタニカルといっしょにドイツの蒸留器メーカー「クリスチャン・カール社」の連続式蒸留器でもう一度蒸留します。
使われているボタニカルはジニパーベリー、コリアンダー、ジンジャー、オールスパイス、桂皮、クローブ、カルダモン、アンジェリカ根、スミレ根、アイリスの根、ラベンダー、ローズ、ナツメグ、ゼニアオイ花、ジャスミン、ローズヒップ、サルヤナギ(猿柳)のトゲ、ペパーミント、ローズマリー、クベバペッパー、オレンジの皮、レモンの皮、ブラックベリーの葉、アカシアの花、エルダーフラワーの花、クルマバソウ、ヘンルーダが使われています。
ちなみに、サルヤナギ(sallow)とはヤナギ科の落葉低木で、ヤマネコヤナギの別称。早春はまだエサの少ない時期なので、黄色の大きな花は鳥や動物の食料になります。
サルが枝につかまって花を食べているのをよく見かけることから、この名がついています。
葡萄の香りを活かしたベーススピリッツだけにエレガントで果実の主張も感じるクラフトジンです。
ジーニージンは41.5度・500mlで最安値は6,700円前後。500mlでこの価格ですから、かなりの高級ジンということになりますね。
ベツァオバーントジンのベーススピリッツはコーンと小麦
ジーニーベツァオバーントジンのベーススピリッツには葡萄は不使用。オーストリアのコーンと小麦が原料です。
ボタニカルはジーニージンとほぼ同じですが、ブラックベリーの葉、アカシアの花、エルダーフラワーの花、クルマバソウ、ヘンルーダあたりは使われていないようですね。
ボタニカルは98度のアルコールにした状態で2週間漬け込んでから単式蒸留器で蒸留。その後、連続式蒸留器で2度目の蒸留をします。
ベツァオバーント(Bezaubernd)は「妖艶、魅力的な」という意味。
どちらかといえば、ジーニージンのほうがこの名前が似合いそうですが、ゼニアオイの花、ジャスミン、ローズヒップといった香りを主張するボタニカルがありながら、口当たりのやさしい丸みのあるジンに仕上がっています。
ベツァ(ベザ)オバーントジンは40.5度・500mlで最安値は5,200円前後とジーニージンよりもちょっとお安めです。
ヴィータシュタイン蒸留所とは
ウィーンから25Kmくらい東へ南下したエリア、ニーダエスタライヒ州のカルヌントウム・ゲッテルスブルンで1876年よりワインの生産を開始しました。
ニーダエスタライヒ州はオーストリアで2番目に人口の多い地域で、州内をドナウ川が流れ、隣のシュタイアーマルク州との境にはアルプス山脈の一角、2000m級の石灰岩の山塊、シュネーベルクがそびえます。
豊かな台地からは1873年以来、120 kmのパイプラインでウィーンに飲料水が供給されていて、世界で最良の飲料水と言われています。
ワイナリー兼蒸留所「ヴィータシュタイン」ではブドウ畑を6ヘクタール所有して黒ブドウや白ブドウなどを栽培。
蒸留所はワイナリーと併設されていて、ワインの醸造は娘のビルギットさん、蒸留酒の生産は母親のグレーテさんが担当という母娘経営の会社。
熟した健康な果実やボタニカルをグレーテさんが選定。蒸留から瓶詰までの丁寧な少量生産が行われています。