グレンキンチーダブルマチュアード 定番プラス蒸留所の個性
ローランドのシングルモルトウイスキーを代表するグレンキンチー。熟成年数ボトルと同様に人気を集める「グレンキンチーダブルマチュアード(Glenkinchie Double Matured)」の特徴や定番との違いなどを解説します。
グレンキンチーダブルマチュアードは、UD社が所有する6蒸留所の各マスターディスティラー監修の下につくられたダブルマチュアードシリーズの一つです。
ご存知の方も多いですが、UD社とはユナイテッド・ディスティラーズ社のことで、現在は経営統合されてMHDディアジオモエへネシーとなっています。
UD社クラシックモルトシリーズのローランド代表銘柄
ブレンデッドスコッチではジョニーウォーカー、シングルモルトではタリスカー、ラガヴーリン、カリラなどでもおなじみですね。
UD社時代にスコットランドを代表する6つの生産地から、同社が所有する6つの蒸留所をフィーチャーして、地域を代表するボトルを販売した「クラシックモルトシリーズ」というものがあります。
北ハイランド・ダルウィニー
西ハイランド・オーバン
スペイサイド・クラガンモア
ローランド・グレンキンチー
アイランズ・タリスカー
アイラ島・ラガヴーリン
本来はハイランドはひとつで、代わりにキャンベルタウンが入るところですが、当時はまだ6つの地域区分が認知され始めた時代。
UD社はキャンベルタウンに蒸留所を所有していなかったため、キャンベルタウンの代わりに西ハイランドのオーバンを紹介したようですね。
ダブルマチュアードシリーズはこの6つの蒸留所のそれぞれのシングルモルトウイスキーを基本として、蒸留所の各マスターディスティラーの監修のもと、通常とは違う熟成方法で仕上げられたシングルモルトなんですね。
ダブルマチュアードの意味と特徴とは
ダブルマチュアードとは「普通の熟成をさせた後に、他の種類の樽に移し変えて数年熟成追加させる」という意味です。つまり、後熟ですね。
グレンキンチーのダブルマチュアードはアモンティリャード(Amontillado)・シェリーを熟成した樽で仕上げの熟成がされています。
アモンティリャードとはパロミノ種というぶどうを使用したシェリー4種類のうちのひとつ。ほかにフィノ、マンサニージャ、そしてウイスキーの熟成ではよく耳にするオロロソがあります。
アモンティリャードはフィノとオロロソとの中間のシェリーと言われています。フィノをより熟成させたタイプで、琥珀色でナッツのような香りが特徴となります。
「クラシックモルトシリーズ」から発展した「ダブルマチュアードシリーズ」は、ご当地のシングルモルトを飲んで特性をつかんだうえで、その蒸留所のマスターディスティラーの個性を楽しむといったところですね。
グレンキンチーダブルマチュアードは43度・700mlで黒ラベルと白ラベル(12年 2003-2015)があります。黒ラベルのほうは「1997年からのニューリリース」とあるだけでくわしい情報がわかりません。
相場価格はいずれも7,000円(税込)前後。わかりやすいのは、情報がはっきりしている白ラベル12年のほうですね。
グレンキンチー12年の特徴を持ちながら、ウッディーな香りとちょっと辛口なシェリーの風味が上品です。