グレンモーレンジオリジナル10年(グレンモランジェ)とは
「グレンモーレンジオリジナル10年(Glenmorangie Original)」はスコットランドの北ハイランドにあるグレンモーレンジィ蒸留所が造っているシングルモルトウイスキーです。
グレンモランジェとも呼ばれます。同蒸留所はMHDモエ ヘネシー ディアジオ社が保有。スコットランドでもっとも売れているシングルモルトと言われます。
グレンモーレンジオリジナル10年はアルコール度数40度、日本で流通しているサイズは350ml・700ml・750ml・1000ml・マグナムサイズの1500mlと容量の種類は幅広くあります。
容量の種類・価格と一般的な風味の評価
記事アップ日(2021年12月10日)の通販の税込価格はそれぞれ以下の通りです。このブログでグレンモーレンジを初めて紹介したのが2019年2月でした。
その時から750ミリリットルまでの価格はほとんど変わらず、安定しています。1000mlは300円ほど値上がり、1500mlは変わっていません。どちらも品薄気味ですね。
グレンモーレンジィ10年・40度 |
通販販売店の価格(税込) |
350ml |
2,800円ほど |
700ml・750ml |
3,500円ほど |
1000ml |
4,300円ほど |
1500ml |
10,000円ほど |
一般的な評価からまずはマイナスポイント。わずかですが「値段の割に飲んでいてあまりぴんとこない味」「少し味がとがった感じ」という感想が。
ピート香のないマイルドなシングルモルトの場合、人によっては「ぴんとこない」感覚はあると思います。
「少し味がとがった感じ」という感想は、オリジナル10年ではバーボン樽のみの熟成なのでその風味が気になったのかも。
バーボン樽ではバニラ香なので、シェリー感をイメージしていると、ちょっと物足りないかも?という感じになるかもしれません。
「グレンリベットよりも若干、単調。グレンリベットを5とすると4のレベル」というレビューもその感覚を表しているように感じます。
とはいえ、Amazonでは平均すると星5つにかなり近いので支持層は多く、「ライトな口当たりでほんのりバニラの様な香りを感じるフルーティな味」「甘く、初心者でも飲みやすかった」「オレンジとの相性抜群、悪酔いしない上にコスパも上々」など。
ボウモアやマッカランと比べてのコスパ評価も高い
シングルモルトを飲み比べてる方からは「ボウモア12年と比べるとはるかにまろやか。マッカラン12年よりは日本人の口に合うと思う」「コストパ的にはマッカランの上」などのレビューがありました。
感覚的な個人差はあるので、あくまでも参考程度にしておいてください。
おいしい飲み方としてはストレートやロックですが、きつければトワイスアップ(氷を入れずに水で二倍にする)や濃いめのハイボールを試してみてください。
特徴のひとつを決めるポットスチルの高さ
グレンモーレンジ蒸留所は北ハイランドのドーノック湾南岸、テインの町のはずれに1843年に設立されました。
特徴のひとつは、スコットランドでもっとも高いと言われる蒸留器。ネックの長さは5.14メートルで、ほぼ成人のキリンと同じです。同蒸留所のイベントでもキリンのディスプレイがよく使われています。
高さのある蒸留器では原酒が湧き上がるときの蒸気と内部との接触面が大きくなり、余分な成分や雑味成分が削ぎ落とされ、とくに香味の軽いスピリッツが得られると言われます。
ウイスキーの風味を決めるのは複雑な要因がある
反対にずんぐりした背の低い蒸溜器からは重いスピリッツが造られます。ただし、背の高さや低さだけで軽い、重いという特徴が決まるわけではないんですね。
蒸溜釜とコンデンサーをつなぐラインアームが上を向いていると軽くなり、下向きの場合は重くなるなど、そのほかの仕組みによっても原酒の風味は微妙に変わります。
グレンモーレンジ蒸留所では、創業時に購入したのがジンを製造していた中古のポットスチルでこの大きさだったんですね。
現在は中古ではなく新しいポットスチルですが、当時のポットスチルを再現して同じ大きさにしています。
昔ながらの仕込み水と製造法
仕込み水に使うのは敷地内にある「ターロギーの泉」から採れる硬度190の中硬水。スコッチ造りには軟水が適していると言われますが、この中硬水は一般的な軟水と比べてカルシウムの含有量が10倍近くあります。
スコットランド産の大麦麦芽のみを使い、カルシウムの作用によって発酵段階で軽くて幅のある原酒がつくられるのだとか。
さらに、樽材に対する徹底したこだわりも。熟成にバーボン樽を使った最初の蒸留所であり、バーボン樽による熟成後、シェリー樽などに詰め替えて後熟させる工程を初めて取り入れたのも同蒸留所でした。
また、樽材に使われるホワイトオークの天日乾燥の期間は、通常で数か月程度のところを2年間。熟成がよりうまく進むための工夫だそうですが、そんな大切な樽を2回までしか使わないそうです。
本場で一番飲まれている理由には、風味だけでなく地道な企業姿勢への共感もあるのかもしれませんね。