ゴードンドライジン・終売とリニューアルで47.3度から43度へ
「ゴードンロンドンドライジン(Gordon's London Dry Gin)」はロンドンのゴスウェル通りに生産拠点をもつタンカレー・ゴードン社が製造しています。
ゴードンドライジンは2017年春に旧ボトルが終売となり、リニューアルとともにアルコール度数が47.3度→43度、40度→37.5度になりました。小瓶40度も出ています。
47.3度の終売にあたって、バーテンダーの方々は買い溜めを検討したりなど、動揺の動きもあったようですね。
一般的に度数が下がると香り、ボディ感(コクの重み)が軽くなってしまい、風味が変わるとも言われます。そこで実際の一般的な評価を調べてみました。
ゴードンジンの特徴・王道ジントニックのベース
ゴードンジンはアレクサンダー・ゴードンが1769年に生み出した「1769レシピ」で現在も造られています。
特徴はボタニカルにジュニパーベリーを多く使い、ジン特有の香りを重視しているためにキリッとした辛口に仕上がっていること。
ジンが苦手な人には手が出しにくい個性がありますが、スタンダードな王道ジンとして、タンカレー、ビーフィーター、ボンベイとともに風味の目安となる銘柄として知られています。
この特徴を活かして、日本のバーテンダーでもジントニックやマティーニのベースとして使う方も多いわけです。
旧ボトルとリニューアル後のレビューの評価
ゴードンロンドンドライジンは現在でも47.3度の旧ボトルの在庫はあるようで、種類も750ml・700ml・1000mlがあります。
43度では750ml、40度では700mlと200ml、37.5度では700mlがあります。
旧ボトルとリニューアル後の現行品では、レビューを読むと印象にかなり個人差があるようですね。
アルコール度数に関しては「43度と40度との違いを比べてみましたが、残念ながら味の違いはよくわかりませんでした」というのもあれば、「以前、40度を飲んでいたので37.5度ではイマイチ感があります」というのもあります。
「40度から37.5度への変更が、ジンにおいて致命的な欠陥」という手きびしい指摘もありますが、度数が変わるだけで水っぽいと感じてしまう場合もあるので、わからない意見でもないですね。
ジントニックにするなら、自分が飲みやすい度数を選ぶ
リニューアル後の味の変化に関しては「新ボトルは前に比べて香りが弱い気がした」「昔はビーフィーター風のシンプルで剛健な味わいだったのが、新ラベルになってからはボンベイサファイアに近くなったよう」などの評価があります。
もちろん、批判的なレビューばかりではなく、「アルコール度数は変わったが、特有の味わいは変わっていない」「ジュニパーベリーの香りは以前よりも強調されているように感じる」「複雑な味よりもシンプルなジンの味を楽しみたい方にお勧めする辛口ジン」などの感想も見られます。
ジントニックでスタンダードの風味に仕上げるなら47.3度、強いお酒が苦手な人は37.5度を選ぶとトニックウォーターとの相性も1:3でおいしい飲み方になります。
ゴードンロンドンドライジンの歴史
ゴードンロンドンドライジンは、世界で初めてジントニックに使われたジンと言われ、現在約180ヵ国で愛飲されています。
スコットランド出身の創設者アレクサンダー・ゴードン氏が、ボタニカルの組み合わせを世界中から探してレシピを完成したのが1769年。
この年は、イギリスの発明家であるジェームズ・ワットが蒸気機関の改良特許を取得した年ですから、長い歴史ですね。
しかも、現在のロンドンドライジンの登場は連続式蒸留器が導入された1830年代以降ですから、それより60年以上前からジンを作っていたわけです。
蒸溜所は当初、ロンドンのテムズ河畔、クラーケンウェル地区に設立されました。この時のレシピにもとづく製造法はイギリスで特許を取得。世界でも12人しか知らず、230年以上の間、秘伝とされています。
ゴードンジンは当時主流だったオランダジン(ジェネヴァ)と比べてすっきりした味わいがあり、英国内で大変な人気を集めました。
その後、英国海軍や商船の船員に愛飲され、世界各国の寄港地に持ち込まれて広がっていきます。
1898年には増え続ける需要に対応するため、生産拠点を現在のゴスウェル通りに移転。ここには市民から命の水として崇められている「牧師の泉」があり、この泉の水に着目したからだと言われているんですね。
これを機にゴードン社は企業規模拡大に乗り出し、基盤を固めていきます。1898年にはチャールス・タンカレー社を買収。
タンカレー・ゴードン社となり、タンカレー社も創業の地であるブルームズベリーから移転することに。
現在、海外需要に備えてゴスウェル街の本社蒸留所のほか、アメリカのリンデン、南アフリカのトラスパールなどにも蒸留所を持っています。
アメリカ産、南アフリカ産のものは味が違うという評判がありますが、ためしに飲んでみたいものです。