グランツファミリーリザーブのキーモルトと価格
「グランツファミリーリザーブ(Grant's Family Reserve)」はウイリアム・グラント&サンズ社(William Grant & Sons)が造っているブレンデッドウイスキーです。
自社の「グレンフィディック」「バルヴェニー」「キニンヴィ」を中心として他社を含む25種のモルトとガーヴァン蒸留所(解説は後述)のグレーンがブレンドされています。
アルコール度数40度・700mlで最安値価格1,000円(税込)を切る販売店もあります。350mlや50mlミニサイズもありますが、割高なので700mlの購入がおすすめです。
グレンフィディック蒸留所
レビューでは風味の印象に個人差、飲み方はハイボールが主流
一般的なテイスティングレビューでは今日現在、Amazonの評価では星5つで3.8という微妙なところ。
その理由は個人差にあり、甘いと感じる方もいれば、刺激と苦味を強く感じてクセがあるという感想を持つ方もいます。総評で共通するのは「複雑さはないけれど、バランスがとれているので価格的には及第点」という印象ですね。
似た風味として「インバーハウス」や「デュワーズホワイトラベル」をあげる方もいます。支持する方の感想では「クセが無く万人向け。多少のアルコール感はあるが、値段を考えると許容範囲」「フルーツ系の爽やかな甘い香りで飲みやすい」「グレンフィディックのモルトの甘みが楽しめてお得な気分」などがあります。
アルコールの鋭さからか、基本的に飲み方はほとんどの方がハイボール。私も飲みましたが、濃いめの氷なしがいちばん美味しく飲めました。ほかの銘柄とのテイスティング比較をしているので、こちらをご参考までに。
ウイリアム・グラント&サンズ社の歴史
ウイリアム・グラント&サンズ社は5代にわたって家族経営が現在も続く独立系企業で、数々の蒸留所を所有しています。
1887年クリスマスにスペイサイドにグレンフィデック蒸留所を創業。5年後の1892年にはバルヴェニー蒸留所をオープン。とはいえ、当時、資金はほとんどなく、すべては手作りでポットスチルも中古品だったとか。
その後、1898年、当時ウイスキーの取引をしていたブレンド会社最大手のパティソンズ社が倒産したことから、行き場を失った原酒をなんとかしようとウィリアム氏自らがブレンデッドウイスキーを製造しはじめます。
そこで考えられた最初のウイスキー銘柄が今回紹介する「グランツ」。つまり、グランツのオリジナルレシピは100年以上前に考案されたものなんですね。
現在のキーモルトはその後に建設した蒸留所のモルトやグレーンを使っていますから、創業当時のものとは違うということになります。
その後、同社では1990年に前述2箇所の蒸留所の近くにキニンヴィ蒸留所(Kininvie)を建設。1966年にはローランド南西部にグレーンウイスキーを製造するレディバーン蒸溜所(その後、閉鎖。現在はガーヴァン蒸留所として稼働)を建設します。
ちなみに、現在稼働するガーヴァン蒸留所の敷地内には2007年にアイルサベイ蒸留所が建設されて、同社はハイランドモルトとともにローランドモルトの製造にも乗り出しています。
また、2014年には閉鎖していた「タラモア・デュー」で知られるタラモア蒸留所をアイルランドのタラモアに復活させています。
これだけの企業規模があるのでブレンドも豪華になるわけですね。近年、同社では「モンキーショルダー」というブレンデッドモルトウイスキーの販売をはじめています。
こちらのキーモルトはグランツファミリーリザーブにも入っている「グレンフィディック」「バルヴェニー」「キニンヴィ」の3種のみで、価格は3,000円前後。
モンキーショルダーと同じキーモルトが入っているとはいえ、そのほかにも25種のモルトとグレーンのブレンドですから、1,000円の価格では銘酒グレンフィディックの旨味を過度に期待するのはちょっと無理があるのかもしれません。
とはいえ、1000円前後のブレンデッドウイスキーとしては、ほかと飲み比べて合格点をつける方は多いと思います。
ボトルが三角形をしている由来は
グランツは同社の看板銘柄でシングル・モルト市場で売上第1位を誇る、グレンフィディックと同様、ボトルが三角形をしているのが特徴的です。
これは1957年に他社との差別化を図る意味で導入されたもの。三角形の意味は「土」「火」「水」となります。
裏面を意味するのが土であり、「大麦とピートという大地の恵み」。正面からみて右が火を象徴「石炭の直火焚き(注・現在は石炭の直火焚きではなく、ガス直火とスチーム間接蒸溜を併用)」。
正面から見て左が「良質の軟水」を象徴しています。これは創業者ウィリアム氏の哲学を具体化したコンセプトです。