タラモアデューウイスキーの特徴
タラモアデューウイスキーの特徴・味評価・価格・飲み方・蒸留所の歴史について解説します。
「タラモアデュー(Tullamore Dew)」はアイルランドのタラモア蒸留所が造っているアイリッシュウイスキーです。
タラモア蒸留所は一度閉鎖されましたが、スコットランドのウィリアム・グラント・&サンズ社がオーナーとなって2014年から稼働しています。
ウィリアム・グラント&サンズ社といえば、「グレンフィデック」「バルヴェニー」「キニンヴィ」を所有する、モルトウイスキーの蒸留量ではスコットランド第3位という規模を誇る酒造メーカーです。
タラモアデューの特徴はモルトウイスキー、ポットスチルウイスキー、グレーンウイスキーという3種の原酒が、すべて3回蒸溜してブレンドされていることです。
また、麦芽の乾燥時にピート(泥炭)を焚かないノンピーテッド製法も特徴で、創業から現在まで受け継がれています。
これらの製造法により、繊細さと滑らかな味わいになっていますが、同じ銘柄の「タラモアデュー12年」に比べると若い原酒なので、口当たりをやや強めに感じる人もいます。
タラモアデューの価格・サントリーの定価と比較すると?
タラモアデューはアルコール度数40度・700mlで、今日現在の販売店での安い価格帯は1,800円ほど。
ちなみに、定価の目安となる希望小売価格は、日本での販売元サントリーによると今日現在2,200円。
定価よりも安く購入できる銘柄で、2018年に初めて紹介したときと価格推移はなく、安定しているのもうれしいですね。
タラモアデューのレビュー評価
一般的な評価からまずはマイナス部分の評価をあげてみましょう。
「飲みやすい分、香りなど少し物足りなさもある」
「少しアルコール臭さはある。気になる方はノンエイジではない方を購入した方が良い」
「12年と比べると熟成が足りず、アルコールの辛味が強い」
「滑らかさの点ではパディ、ブッシュミルズ、タラモアの順。タラモアは少しキックがある(英国)」
支持するレビューは以下の通りです。
「アイリッシュコーヒーを作るために買ったが、そのままロックで飲んでもおいしいので、すぐになくなってしまう」
「アイリッシュコーヒーを飲みたくて買った。癖がないから使い勝手がいい」
「香りは若いウイスキーだが、ロックで飲むとマイルドで飲みやすい」
「メーカーズマークより甘みがあり、バーボン党の方にもオススメ」
「飲みやすくて美味しかった。個人的にバーボンとかよりはかなり好きな味」
「ロックに水割り、ハイボールまで。どんな飲み方をしてもうまい酒」
「キルべガンを更にまるくした味わい。ストレートが良い。ロックはボケる」
タラモアデューのおいしい飲み方・アイリッシュコーヒーはいかが?
タラモアデューはストレートやロックだけでなく、おいしい飲み方としてアイリッシュコーヒー用に使う人も多いですね。
実際にタラモアデューはアイリッシュコーヒーに最初に使われたウイスキーとしても知られているため、このカクテルに使うバーテンダーの方もいます。
アイリッシュコーヒーのつくり方は以下になります。
1.グラスにホット・コーヒーを注ぎ、角砂糖かブラウンシュガーを投入
2.アイリッシュ・ウイスキーを注いで、ステア
3.生クリームを軽くホイップさせてフロートすれば完成
アイリッシュコーヒー誕生の歴史
「アイリッシュコーヒー」が生まれたのは1943年、アイルランドの首都ダブリンから200km弱の距離にある、シャノン川中洲のフォインズ水上飛行場でした。
飛行艇の時代、給油のために飛行艇から降ろされた乗客はボートに乗り替えて川を渡り、待合室にやってきます。
待合室にはパブがあり、シェフのジョー(ジョセフ)・シェリダンは厳寒の季節に震えながらパブへとやってくる乗客を見ていました。
そこで彼が考案したのが、身体が温まるドリンク 「アイリッシュコーヒー」だったわけですね。
タラモアデュー蒸留所の歴史
「タラモア」とはアイルランドのオファリー州にある町の名前です。
肥沃で穀物の生産地だったこの州の中心都市、タラモアの大運河沿いに1829年、マイケル・モロイがタラモア蒸溜所を建てたのが始まりです。
その後、彼の甥であるバーナード・デイリーが蒸留所を継いだとき、ダニエル・E・ウィリアムスという少年が従業員となります。
事業はバーナードの息子、さらに孫のキャプテン・バーナード・デイリーへと引き継がれますが、キャプテンは国際的なポロ選手でウイスキーに興味がなかったため、蒸溜所は従業員のウイリアムスに任されるようになりました。
ウイリアムスは蒸溜所を近代化していきながら、1897年に蒸溜所名を冠にしたアイリッシュウイスキー、「タラモアデュー(Tullamore Dew)」を開発。
「デュー(Dew)」というのは、ウイリアムス(Daniel Edmond Williams)の名前の頭文字と「Dew=露」の意味をかけてつけられたとか。
その後、会社の所有権はデイリーからウイリアムス、そして彼の息子のジョンへ引き継がれ、アイリッシュウイスキーを代表する名ブランドに成長します。
ところが、20世紀に入るとアイルランドの蒸留所は衰退してしまいます。
その背景にはアイルランド独立によるイギリス市場への輸出禁止、アメリカの禁酒法施行、世界大恐慌、スコッチのブレンデッドウイスキー台頭などのたくさんの要因がありました。
そのような環境で「タラモアデュー」を生み出したウイリアムス家では1948年に「アイリッシュ・ミスト(Irish Mist)」というリキュールを開発。
アイリッシュウイスキーに10種類以上のハーブの抽出エキスと蜂蜜を加えたもので、これが好評だったためにリキュール製造に専念することになりました。
1954年に蒸留所は一度閉鎖され、生産はペルノ・リカール社傘下のアイリッシュ・ディスティラーズ社のミドルトン蒸留所に引き継がれることに。
その後、2014年になって、もともとミドルトン蒸溜所で作られていたタラモア・デューのブランド権を持っていたウィリアム・グラント&サンズ社がタラモアデュー蒸溜所を新設して復活させたんですね。
これまではずっとミドルトン蒸留所時代のタラモアデューが流通していましたが、これからは新生タラモア蒸留所によるリリースとなります。
ミドルトン蒸留所時代とはちょっと違った個性のタラモアデューが楽しめるかもしれませんね。