ジェムソンウイスキースタンダードの価格と味わい評価
「ジェムソンウイスキースタンダード(Jameson)」はアイルランドのコーク郊外にあるミドルトン蒸留所が造っている、アイリッシュのブレンデッドウイスキーです。
「ポットスチルウイスキー(くわしくは後半で解説)」と「グレーンウイスキー」がブレンドされています。スコッチと勘違いする方も多いようですが、アイルランドのお酒です。
ポットスチルウイスキーは大麦麦芽、未発芽の大麦を原料に、銅製ポットスチルを用いて蒸留を行い、オークカスクを使用して熟成した原酒。
グレーンウイスキーは大麦麦芽以外にトウモロコシ・ライ麦・小麦といった穀類を原料として発酵させた後、連続蒸留器で蒸留させた原酒です。
スコッチのようにピートは使わずに3回の蒸留を行います。その後、バーボン樽やシェリー樽で3年以上熟成しています。
3回蒸留・ノンピートがうまい、まずいの好みの差となる
3回蒸留のアイリッシュウイスキーは、原酒自体が軽やかのため、口にしたときに澄んだ印象があります。
ノンピートのため、初めて飲む前にはウイスキーらしさがあるのかと心配になるかもしれませんが、バーボン樽やシェリー樽の熟成が行われているので大丈夫です。
ただし、スコッチに慣れている人は癖がない、個性がないと感じたり、バーボン好きの方からはおとなしすぎる、まずいと受け取られたりする場合もあるようですね。
私は比較的アイラスコッチが好きですが、ジェムソンはいいなと思う点があります。
体質の個人差はあるかもしれませんが、ノンエイジのブレンデッドを飲むと翌日に頭が痛くなったりします。ジェムソンではそれがないんですね。翌朝、胃腸の重さもなく、体への負担が少ないようです。
ノンエイジのブレンデッドとしては価格がやや高めですが、12年物よりも安い価格で翌日の心配をしないで安心して飲めるのは魅力です。
ジェムソンスタンダードのテイスティングノート
あくまでも私なりですが、ジェムソンスタンダードのテイスティングノートを紹介しましょう。
開栓してみると、ボトルから甘い香り。ノンエイジのためか、アルコールが強めに鼻をつきます。
ストレートで味わってみると、甘味はほのかですぐに消えていきます。樽の影響と思われる、辛味と渋みのほうが勝る印象です。
舌の先がピリピリして原酒に若さを感じますが、私には許容範囲。
ハイボールにしてみると、フルーティ感が出てきます。ビールのようなベタつきもなく、スパイシーすぎることもありません。
飲み終わりに舌の奥にちょっとエグみが残りますから、気になる人もいるかも。
丁寧に造られている印象もあり、慣れるとこれもいいなと感じます。ハイボールなら食中酒でも飲みやすいでしょう。和食に合いますね。
個性がないと表現する人もいますが、日常飲むのに負担のない大人のアイリッシュ、なかなかいいですよ。
ジェムソンウイスキースタンダードの度数と価格
ジェムソンスタンダードはアルコール度数40度で、あくまでも記事アップ日(2021年6月13日)の価格ですが、ミニチュア50mlが税込250円ほど、700mlが税込1,600円ほど、1750mlが税込5,000円ほどになります。
700mlではプラス千円ほどでグラス付きがあります。
以前、2020年1月5日にジェムソンスタンダードを紹介したときから高騰もなく、現在も価格は変わらないので安定した銘柄です。
ジェムソンスタンダード一般的な味わい評価は
一般的な味わいに関する評価から、まずはマイナス評価を指摘する感想をあげてみます。
「ピート香がないため、ジャパニーズやスコッチに比べてややアルコール臭を強く感じる。スコッチとウォッカの中間のような雰囲気」
「美味いけれどウイスキーとしては若い風味」
「ほとんど雑味なし。個性的でクセのあるのが好みの方は少し物足りない」
「濃いめの癖のある味が好みの人には飲み足りないかも」
「スモーキーさはないので、バーボンを飲んでいる私にはやや物足りなかった」
「口当たりもよく飲みやすかった。ただ一度味わえば満足という味」
支持するレビューは以下の通りです。
「思ったよりフルーティで女性でも飲みやすい」
「リンゴのようなフルーティーな香り。スッキリした優しい味の中に芳醇な甘さがあり飲みやすい」
「木と甘さとハーブ系の香り。口に含めばスムースな口当たり、甘やかさの中にハッカを思わせる清涼感」
「値段も良心的で、いいウィスキー」
「紅茶やコーヒーにいれても相性よく美味しい」
「同価格帯ではこれが一番好み」
ピート香のあるスコッチに飲み慣れていると、やや物足りないという感想はありますが、味わいを強く否定する感想ではないようです。
価格相応で良心的なウイスキーという評価が多いですね。
ジェムソン・ハイボールやジンジャーライム等のお酒の飲み方
ジェムソンウイスキースタンダードは、アイリッシュウイスキーならではのクセのなさから、さまざまなお酒の飲み方が好まれています。
ただし、アレンジの好みは個人差が大きく、ストレートやロックが好きだという人もいればハイボールがうまいという人、反対にハイボールではこのウイスキーの美味しさが味わえないと指摘する人もいます。
スッキリとしてほのかに甘い特徴を活かすために、ジェムソンのホームページでは「ジェムソン ジンジャー&ライム」も推奨されています。
ジェムソンスタンダードとジンジャーエールを1:3で割って、大きめのくし形切りのライムを絞ります。
また、アイスクリームにかけたり、コーヒーにアかけてアイリッシュコーヒーにしたりする人もいます。
ホットだと適度にアルコール分が飛ぶので、まろやかなウィスキー風味のコーヒーが楽しめますよ。
ジェイムソン蒸留所からミドルトン蒸留所へ
ジェイムソン蒸留所(ミドルトン蒸留所)の所有はアイリッシュ・ディスティラーズ社(ペルノ・リカール社傘下)で、現在の蒸留所は1975年の完成です。
それ以前に活躍していた建物は創業の1825年から1975年まで150年も活躍しました。
現在でも当時の状態で保存され、ほど近い距離に「オールド・ミドルトン蒸留所」として貴重な歴史遺産を語る博物館となっています。
1825年製造の原料を粉砕していた水車や、1949年から使用された141,000リットル(31,000ガロン)の容量を持つポットスティルが見学できるんですね。
原料となる大麦の乾燥にはピートを使わず、密閉炉でじっくり乾燥。
文字通り炉の中に密閉されて石炭で乾燥されるので、大麦はまったく煙に触れることがなく、ピートの臭いもつかないんですね。
アイリッシュのシングルポットスチルウイスキーとは
ミドルトン蒸留所は世界最大の蒸留器を持っていて、大麦を原料に使う伝統的な「シングルポットスチルウイスキー」を生産している唯一の蒸留所です。
アイリッシュウイスキーは、アイルランドと北アイルランド(イギリス領)で造られるウイスキーの総称で、定義は以下のものです。
・穀物類を原料とする
・麦芽の酵素にて糖化、酵母の働きで発酵
・蒸留液はアルコール度数94.8%以下に抑える
・アイルランドか北アイルランドの倉庫の木樽で3年以上熟成
一般的なウイスキーには「シングルモルト」「グレーン」「ブレンデッド」という種類がありますが、アイリッシュウイスキーには「アイリッシュ・ポットスチルウイスキー」があります。
以前は「ピュアポットスチルウイスキー」とも呼ばれましたが、2014年の法改正で呼称が改められたんですね。
ポットスチルウイスキーの定義は大麦麦芽と未発芽大麦の両方を使い、それぞれが全体の30%以上を占めること。
そのほかの穀物であるライ麦やオーツ麦の使用は全体の5%未満にとどめること。
蒸留方法はポットスチルによるバッチ蒸留で、2回蒸留でも3回蒸留でも良しとされています。
ただし、「ジェムソンアイリッシュウイスキー」は原酒の滑らかさを倍増させるために、3回蒸留を伝統としています。