ジムビームデビルズカットの意味や特徴、違い、価格とレビュー評価
「ジムビームデビルズカット(Jim Beam Devil's cut)」はケンタッキー州クレアモントにあるジムビーム蒸溜所で造られているバーボンウイスキーです。
熟成の過程では希少な原酒を減らしてしまう「天使と悪魔が存在する」とよく言われます。
貯蔵するあいだに樽の中で蒸発する原酒は「天使の分け前」(Angel's share)と呼ばれて有名ですね。
それに対して、「悪魔の取り分(Devil's cut)」とは、樽に染み込んでしまって取り出せない濃厚な香味のある原酒。
天使の分け前は取り戻せませんが、悪魔の取り分は樽に残っているので取り戻せるという考えのもと、このエキスを取り出してジムビーム(ホワイトラベル)に追加しているのがデビルズカットの特徴です。
製造法やホワイトラベルとの風味の違い
メーカーの説明では「ジムビームデビルズカット」は樽材の内部にしみこんだ風味のあるバーボンを独自の工程で抽出となっています。
具体的にはデビルズカットの残る樽に水を入れて揺すり、しみこんだ原酒を洗濯物を脱水するかのように取り出すという方法です。
シャンプーが残ったら最後にお湯を入れて使う方法と同じですね。この香味の溶け込んだ水は、ボトリングの際の加水用に利用されて風味付けされます。
これにより、バーボンウイスキーの特徴であるバニラ風味、甘み、樽の焦げ感といった樽に溶け込んだ香味が強く出る傾向になります。
ジムビームデビルズカットの定価と通販価格、グラスつきも
ジムビームデビルズカットはアルコール度数45度で、ずんぐりしたボトルの正規品700mlと並行輸入品(ずんぐりボトルと細長いボトル)750mlがあります。
定価の目安となる希望小売価格は、日本での販売元サントリーによれば税込2,200円。
参考までに記事アップ日の通販価格は正規品、並行輸入品ともに税込1,800円ほどなので、安く購入できますね。
並行輸入品でも在庫が少ない細長いボトルは、記事アップ日の時点で2,700円ほどですが、タイミングによっては正規品と同じくらいの価格で購入できる販売店もあるようです。
非売品オリジナルグラスセットのグラスも人気で、こちらは2,200円ほど。
デビルズカットバーボンウイスキーのレビュー評価
一般的な評価から、まずはマイナス評価を指摘する感想をあげてみます。
「ジムビームと比べてスモーキーな風味が少し強いくらい。名前のインパクトはあるが、大きくは違わないかも」
「樽に悪魔の取り分は残しておくべきだった(英国)」
「繊細さのない非常に力強い味わい。より粗い味を好むなら良いかもしれないが、個人的にはレギュラーボトルのほうが好き(英国)」
「黒焦げの木材を飲む印象。これは無意味であまり良くない。飲むためにたくさんの割り材を使ってしまった(英国)」
支持するレビューは以下の通りです。
「バーボン特有の甘さの中に苦味があり、深い味わい」
「ハイボールで楽しんでいる。炭酸で割っても損なわれない煙たさの余韻との相乗効果がたまらない」
「スペイサイドウイスキーが大好きな私には、通常バーボンは甘すぎる。しかし、これは少し異なり深みと風味がある(英国)」
「非常に豊かでアルコール度数も高すぎず、スムーズに飲める(英国)」
「バーボンが好きならこれは失望しない。標準のジムビームよりもリッチで風味豊か(英国)」
「ファーストテイストは非常に強力。開封後数日放置するとテイストはよりスムーズになるが、それでもパンチがある(英国)」
やはり、絞り出した樽の香りや力強いスパイシーさがスタンダードとの味の違いとなるので、木香系の苦みが苦手な方はエグ味に感じるかもしれませんね。
バーボンウィスキーでは一度使った樽の再利用が禁止されているため、新樽を使用します。
ジムビームでは新樽に小さめの樽を使うことで、原酒と樽が接する割合を高くして、熟成を早く進ませる工夫をしています。
バーボンをすべて取り出した樽はスコッチやジャパニーズウイスキーなどの蒸溜所に売却。バーボン以外のウイスキーの原酒を熟成させるのに使われます。
新たな原酒の香り付けに役立つデビルズカット。世界的な原酒不足の中、使ってしまってはもったいない気もするのは私だけでしょうか(笑)。