白ワインカクテルのキール、名前の意味と由来
カクテル「キール(Kir)」は別名「ヴァン・ブラン・カシス」とも呼ばれる、白ワインに少量のカシス(黒スグリ)リキュールを加えたショートドリンクです。
名前の意味と由来は考案者の名前からきています。考案者はフランスのブルゴーニュ地方にあるディジョン市の市長だったフェリックス・キール(Felix Kir)氏。
なぜ市長だったのか?それにはこんな背景があると言われています。第二次世界大戦後、ブルゴーニュ産のワインの出荷は伸び悩んでいました。
町おこしの契機となったカクテル
ディジョン市はブルゴーニュ地方でもワインの生産が盛んな地域で、ワインは重要な生産品。また、市の周辺はカシスの栽培も行われていて、カシスリキュールもありました。
そこでキール氏は白ワインをベースに、カシスリキュールを入れたカクテルを考案。ディジョン市の公式歓迎会(レセプション)でも食前酒として薦めるなど、PR活動を積極的に行いました。
その結果、ヨーロッパに広まり、広く飲まれるカクテルとなったんですね。日本でクレーム・ド・カシスが売れるようになったのも、このカクテルの影響なのだとか。
キールの作り方・アルコール度数・カクテル言葉
キールには氷を入れないため、カシスリキュール、白ワイン、グラスを良く冷やしておきましょう。
白ワインはブルゴーニュ産の辛口白ワインを使うのがスタンダード。カシスリキュールはディジョン氏の老舗メーカー、ルジェ・ラグート社が製造するルジェ クレーム・ド・カシスがおすすめです。本場の味が楽しめます。
白ワインとカシスリキュールの比率はカクテルブックによってレシピが違っていて、4:1や5:1から9:1まであるようです。
飲む人の好みによりますが、甘口ならカシスリキュールの割合を増やして、辛口のワイン風味を活かしたい方はカシス控えめがいいでしょう。
先にカシスリキュールを入れて、辛口の白ワインを注いで、軽くかき回します。
キールのアルコール度数は約14度前後。カクテル言葉は「最高の出会い」「陶酔」とロマンチック。大切な人につくってあげるときには、本場の白ワインとカシスリキュールでどうぞ。
キールとキールロワイヤルの違いや関連カクテル
カクテル名 |
材料 |
キール |
白ワイン・カシスリキュール |
キールロワイヤル |
シャンパン・カシスリキュール |
キールインペリアル | シャンパン・フランボワーズリキュール |
ディタインペリアル |
シャンパン・ライチリキュール
|
キール・カーディナル | 赤ワイン・カシスリキュール |
キールとキールロワイヤルの違いはただひとつ。キールロワイヤルは白ワインをシャンパンに変えるだけです。
つまり、カシスリキュールのシャンパン割り。このカクテルが生まれたのはフランスではなく、オーストリアのウィーン。グラスの中ではじける泡がさわやかで「王のキール」と名づけられたんですね。
木苺のリキュール(フランボワーズ・リキュール)のシャンパン割りが「キールインペリアル」。さらに、ライチリキュールのシャンパン割りが「ディタインペリアル」。
また、キールのバリエーションといった意味合いの「キール・カーディナル」は白ワインを赤ワインに変えたものです。
カーディナルとは「枢機卿」という意味。カクテルの赤い色をカトリックの高位聖職者が身にまとう赤いケープを見立ててつけられたんですね。
こちらのカクテル言葉は「優しい嘘」になるので、ちょっと意味深な感じに。キールとはまた別の場面で使ったほうがよさそうです(笑)。