ラフロイグ セレクトカスク 10年との違いはシェリー樽の2種類
「ラフロイグ セレクトカスク700ml(Laphroaig Select Cask)」はスコットランド西海岸沖のアイラ島にあるラフロイグ蒸留所(ビームサントリー保有)が造っているシングルモルトウイスキーです。
ラフロイグのスタンダートに「10年」があります。10年はホワイトオーク材のバーボン樽のファーストフィル(1度バーボンの熟成に使用された樽)を使用。
これにたいして、セレクトカスクはバーボン樽とシェリー樽2種類がヴァッティングされているのが違いです。ヴァットには「大きな桶」の意味があり、複数のシングルモルトウイスキー(またはシングルグレーンウイスキーの場合も)同士を巨大な桶で混ぜ合わせることをヴァッティングと呼びます。
具体的にはペドロヒメネスのシェリー樽、ヨーロピアンオーク・シェリー樽、バーボン樽で熟成された多彩な原酒をヴァッティングさせたあと、さらにファーストフィルのアメリカンオーク樽で後熟させるという工程なんですね。
使われているシェリー樽2種類のひとつ、ペドロヒメネスのシェリー樽ですが、ペドロヒメネス(Pedro Ximenez)という極上の甘口シェリーに使われる、ワイン用ブドウ品種が名前の由来です。
ウイスキーの風味を甘口に仕上げるために使われます。ラフロイグのブランドには「PXペドロヒメネスカスク48度1000ml」がありますが、これに使われる原酒。
原価的にもいちばん高価と言われていますが、このセレクトカスクにどのくらいの割合で使われているのかは公表されていないので、気になるところですね。
使われているシェリー樽のもう1種類がヨーロピアンオーク樽。一般的にドライフルーツやシナモンなどの風味をウイスキーにつけるために使われています。
ヨーロピアンオーク樽はタンニンを強調しながら、豊かな甘味とのバランスがいいのが特徴で熟成にもよく使われます。
これにバーボン樽をヴァッティングさせることで、甘さ、クリームのような滑らかさをプラス。そのあと、ふたたびファーストフィルのアメリカンオークバーボン樽で後熟させるんですね。
新樽のメリットは木材の豊富成分が抽出できること
オーク樽は何回スピリッツを入れたかによって、成分の抽出量が変化します。新樽の場合、木材から抽出できるタンニン、ラクトンなどが強く、含有量も多く残ります。
タンニンとは植物の葉などに含まれるポリフェノールで渋味成分。ラクトンとはフルーティーで甘い風味を特徴とする香気成分。
新樽に入れられたスピリッツはたっぷりとこれらの成分が移るのが特徴で、2回目以降に使われる樽では樽由来の成分が少なくなります。
そこで、新樽にするのか、2回目、3回目を使うのか、樽は適度な熟成を行う目的のために使い分けられているんですね。樽の個性をあまり受けたくないというケースもあり、新樽以外も需要があるわけです。
テイスティングレビューと価格
「ラフロイグ セレクトカスク700ml」はアルコール度数40度で350mlと700mlがあります。記事アップ日現在の最安値価格は以下の通りです。
銘柄 |
通販販売店の最安値価格 (税込・今日現在) |
(40度・700ml) |
3,600円ほど |
ラフロイグセレクトカスク (40度・700ml) |
3,500円ほど |
ラフロイグセレクトカスク (40度・350ml) |
2,300円ほど |
一般的なテイスティングレビューの評価は、否定的なものでは「10年と比べると味の幅は豊か。でも、物足りないというか薄い」というように、10年の風味が好きな方やウッディで強いスモーキーな味が好みな方は物足りなさを感じるようです。
高評価のレビューは「通常のラフロイグよりスモーキーさが多少マイルドに感じられ非常に飲みやすい」「思った以上にキレのある味にびっくりしたが、美味しかった」「価格が手頃で香りもクセが強すぎず、飲みやすい」「カリラやボウモアよりピーティーでスモーキー」など。
ノンエイジですから、これはこれという認識で飲むのがいいかもしれません。
とは言うものの、初めてアイラモルトを飲む方は十分にピート臭プンプンのスモーキーなウィスキーという刺激を感じさせてくれるでしょうね。
ラフロイグが初めての方はクセの強さがお好みなら王道の10年、マイルドタイプならセレクトカスクでチェレンジしてみてください。「クオーターカスク」とも間違えやすいのでご注意を。