「ローンウルフ ガンパウダージン(Lone Wolf Gunpowder Gin」は、スコットランドにあるローンウルフ蒸留所が造っているスモールバッチの「ロンドンドライジン」です。
「ローンウルフジン(Lone Wolf Gin)」との違いは、まず、ローンウルフジンのアルコール度数が44度にたいして、ガンパウダージンは57度というハイプルーフであることです。
かつての大航海時代、銃砲に利用されて戦争の歴史に革命をもたらしたのが火薬。ルネサンス期ヨーロッパの羅針盤・火薬・活版印刷術の三つの発明は「ルネサンスの3大発明」と呼ばれています。
しかし、実は火薬は今から1000年以上前に中国で発明されたのが最初だとか。12~14世紀の中国では地雷、ロケット、銃砲などあらゆる型の火薬兵器があったそうですが、ほぼ500年間、門外不出だったため、知られることがなかったんですね。
発祥はともかくとして、大航海時代に欠かせなかったジンは船の積荷として、火薬と同じ部屋で保管されていました。そのため、瓶が破損して火薬がジンでぬれても着火・燃焼できる度数である57度に調整されていました。
これはイギリスの伝統的な度数であるネイビーストレングスと呼ばれています。「季の美 勢(せい)京都ドライジン」などのクラフトジンでも見られるように、ハイアルコールならではの力強さ、香り、味わいが楽しめる特徴があります。
(以前に紹介しましたが、現在は在庫切れのようなので、商品は↓スタンダードのほうを紹介しておきます)
「ローンウルフ ガンパウダージン(Lone Wolf Gunpowder Gin」ではあえてネイビーストレングスと名づけずに、火薬という意味の「ガンパウダー」とネーミングされています。
「ガンパウダージン」と「ローンウルフジン」の違いのふたつめは、同じベーススピリッツを使用しながらも、ボタニカルを変えている点です。
ジュニパー、コリアンダー、アンジェリカ、オリス、ディルシード、レモングラス、松、レモン、グレープフルーツ、ビターオレンジ、カルダモン、ラベンダー、スターアニス、黒コショウ、ピンクペッパー、四川胡椒というように、オリエンタルな要素に重点が置かれた16種類のボタニカルが使われています。
中国原産の四川胡椒は「花椒(かしょう)」とも呼ばれる、山椒(日本原産)と同じミカン科の植物。
中国では果実を乾燥させてから漬け物などにそのまま使ったり、すりこぎやペーパーミルで挽いて使われたりします。
花椒は山椒よりも芳香・辛味が強く、最近はフランス料理でもよく使われる食材になっています。
さらにユニークなのはボタニカルに松が使われていること。同社のホームページを見てみると、「Scots pine needles」とあり、直訳するとスコットランドの松針、つまり松のとがった葉が使われているこということなんですね。
ガンパウダーのコンセプトはしっかりと風味に反映されていて、オリエンタルなボタニカルがパンチを効かせて響いてきます。