メーカーズマーク カスクストレングスとは
「メーカーズマーク カスクストレングス(Maker's Mark Cask Strength)」はアメリカ・ケンタッキー州ロレットにある「メーカーズマーク蒸溜所」が造っているバーボンウイスキーです。
カスクストレングスとは樽出しという意味で、加水をせず瓶詰めした樽本来の風味を味わえるのが特徴です。
シングルカスクという情報がないので、ひとつの樽からボトリングしたわけではなく、蒸留所にある複数の樽の原酒をバッティングさせたカスクストレングスですね。
通常のバーボンよりも度数設定を下げている意味
バーボンでは樽詰め度数の上限が62.5%に決められていて、通常のバーボンのカスクストレングスはもっと度数が高いのですが、メーカーズマークでは低めの55度の設定。
これは、度数が高すぎるとアルコールの刺激が強く出てしまい、まろやかな風味に仕上がらないためにあえてしているそうです。
カスクストレングスは加水調整せずにボトリングされるため、バッチ(1回の生産単位)ごとにアルコール度数が変わるのが特徴です。「メーカーズマーク カスクストレングス」では54度から57度のばらつきがあります。
メーカズマーク蒸留所、職人気質の歴史
メーカズマーク蒸留所の創業者はビル・サミュエルズ・シニア氏。彼はスターファームという農園にあったバークスプリング蒸溜所を購入すると、修復して1951年からメーカズマークブランドを造りはじめました。
彼はサミュエルズ家6代目の人物。1代目のロバート・サミュエルズ氏はスコッチ・アイリッシュ系と呼ばれる現在の北アイルランド移民のひとりでした。
彼がケンタッキーにたどり着き、1780年に自家用ウイスキーづくりをはじめたのが一家としてのレシピの発祥です。その後、本格的なウイスキー事業を始めたのが3代目テーラー氏。
「その伝統を頑固に守りつつ」というのがスコッチやアイリッシュの蒸留所ではおなじみですが、ビル・サミュエルズ・シニア氏はその逆をいきました。
世界で評価される最高品質のバーボンを探究していた彼は、170年間伝えられた先祖伝来のレシピを大幅に改良したんですね。
一般的なバーボンの原材料であるライ麦の代わりに冬小麦を使用。コーンや小麦の甘味がいきた、まろやかでふっくらとした味わいを生み出して、現代まで続く人気のブランドに成長します。
ラベルのロゴマークの由来とサミュエル家4代目の強い決意
「メーカーズマーク」のラベルのロゴマークにはいくつかの歴史が刻まれています。星マークは創業時のスターファームという農園。
「S」はサミュエル家の頭文字、「Ⅳ」はウイスキー事業を始めた一家の3代目テーラー氏から創業者の6代目ビル氏まで、4代続いた蒸留の歴史を示しています。
マークを囲う円には途切れた部分がありますが、諸説ある中で有力な説となっているのが、「途切れ目は一時的に蒸留所の操業が停止した時期である」というもの。
4つの途切れ目は南北戦争、禁酒法、第一次世界大戦、第二次世界大戦という苦難の時代を意味しているとか。
そこには、一時期とはいえ、バーボン蒸留をやめて他のビジネスを行ったことの反省だったり、二度とバーボン造りをやめないという決意だったりというのがこめられているそうです。
カスクストレングス並行輸入品と正規品の価格差は
メーカーズマーク カスクストレングスはアルコール度数54度から57度で、700mlと750mlがあります。ともに相場価格は送料入れずに7,000円前後で大差はありません。
メーカーズマーク輸入販売元のサントリーでは今日現在、扱っていないようですね。並行輸入品が多いですが、サントリーが過去に扱ったらしい正規品も探すとまだ見つかります。
ちなみに、今日現在ですが、正規品の価格もほぼ違わないようです。
銘柄 |
通販販売店の相場価格(税込) |
カスクストレングス 並行輸入品 (54度から57度・700mlと750ml) |
7,000円前後 |
カスクストレングス 正規品 (54度から57度・750ml) |
7,000円前後 |
テイスティングレビューでは愛飲家にも高評価
一般的な評価は「シャープな辛さのあとに甘さが広がる」「濃厚な甘い樽香で滑らか」「甘みと苦みのバランスがちょうどいい」「新樽をローストした香りと甘みのある味わい」「キャラメルのようなクリーミーな甘さ」などのテイスティングレビューが見られます。
いかにもメーカーズマークの愛飲家のみなさんらしい感想だと思います。ボトル形状も通常とは違うので、違った意味での愛着もわきますね。