モンキーショルダー・バッチ27トリプルモルトスコッチとは
「モンキーショルダー(Monkey Shoulder)」はウイリアムグラント&サンズ社(William Grant&Sons)が製造している、ブレンデッドモルトのスコッチウイスキーです。
ブレンデッド(バティッド)モルトといえば、数多くのモルト原酒を混ぜるのがほとんどですが、こちらは3種のみのトリプルモルトという点が大きな特徴です。
使われているキーモルトは同社が所有するスペイサイドの3つの蒸溜所のシングルモルト。
グレンフィディック蒸留所
グレンフィディック・バルヴェニー・キニンヴィ(Kininvie)蒸留所から選んだ合計27樽の原酒をヴァッティングして作られたボトルです。
ボトルのキャップカバーに「バッチ27(BATCH27)」という表示があるのはそのためです。
キーモルトのひとつを造る、同社秘蔵のキニンヴィ蒸留所
ウイリアムグラント&サンズ社ではグレンフィディック蒸留所を1887年、バルヴェニー蒸留所を1892年、キニンヴィ蒸留所を1990年7月に創業しました。
キニンヴィ蒸留所はグレンフィディック、バルヴェニーの近くに建設されましたが、創業以来シングルモルトのリリースは極少量のみ。
記念ボトル以外では1度もボトリングされていない幻のシングルモルト。ボトラーからもリリースされていない同社秘蔵の蒸留所と言われます。
海外でわずかにリリースはあるようで、日本でも「17年」「23年」あたりは並行輸入品ならわずかに購入できるようですね。
モンキーショルダーの定価と価格
モンキーショルダーはアルコール度数40度・700mlで、日本での輸入元は三陽物産。定価の目安となるメーカー希望小売価格は税込3,960円となっています。
記事アップ日(2021年8月8日)時点での通販価格は税込2,800円ほど。2020年の同時期と比べて価格変動はないので、安定して安く購入できる銘柄です。
価格面で言えば記事アップ日時点で「グレンフィディック12年」が税込3,000円ほど、「バルヴェニー12年ダブルウツド」が税込5,500円ほど。
原酒の熟成年数が非公開なので、若い原酒が入っている可能性はありますが、残りの「キニンヴィ」が高価なレアモルトなので、価格で見ればかなりお得感はあります。
ブレンデッドモルト・モンキーショルダーをテイスティング
あくまでも私なりのブレンデッドモルト・モンキーショルダーウイスキーのテイスティングノートを紹介します。
ボトルはずんぐり、肩口にメタリックな猿。コルク栓は高級感もあるので、箱付きで贈り物によさそうです。
開栓してみると薄いピート香とともに、爽やかな果実の香りがします。試しに深く吸い込んでみましたが、むせることはありません。
ストレートでは果実系の甘さが口当たりよく入ってきて、辛味、力強さがあとからやって来ます。奥にちょっとだけほろ苦い感じもありますね。
スモーキーさが少ない分、後味で舌に残る独特のクセがありません。でも、微妙なほろ苦さが人によっては気になるかもしれません。
ハイボールではフルーティさが影を潜めてしまって、バニラの甘味だけが口に広がりました。複雑さがなく、バニラ一色になってしまうのがちょっと残念ですね。
ハイボールで複雑さが息をひそめてしまうのがノンエイジならではかも。ハイボールなら濃いめがおすすめです。
ちなみに、開栓後、しばらく日数を置いてから飲んでみると、最初に感じたバニラの甘い風味が少なくなり、辛味が際立ってきたように感じました。
スペイサイドならではの柑橘系の甘い風味を楽しみたいなら、開栓して早めに飲んだ方がいいかもしれません。日数を置くと変化するお酒といった印象でした。
グレンフィディック・バルヴェニー・レアモルトのキニンヴィが入って、かろうじて3,000円以内で飲めるブレンデッドモルトウイスキー。入っている銘柄だけで判断すればコストパフォーマンスは高く、お得ですね。
ただし、これでなくてはという説得力があるかどうか。これならもうちょっと出してグレンフィディック12年でもいいかというように、話題性から1回飲んで終わりになってしまう可能性もなくはないかも。
とはいえ、キャッチ―なネーミングは魅力的ですし、こういう銘柄は突然、終売になることもありますから、機会があれば一度飲んでみておいても損はないと思います。
モンキーショルダーのレビュー評価
一般的な評価からまずはマイナス評価を指摘する感想をあげてみます。
「もう少し個性的かと思ったが、可もなく不可もなくというところ」
「飲みやすいが薄っぺらい印象。それぞれのモルトの個性が活きていない」
「ボトルが重く、注ぎにくい」
「香りはまずまず。若さを感じる味」
「洋梨系の香りがいいが、味は少し拍子抜け」
支持するレビューは以下の通りです。
「美味いウィスキー。ストレートで口に含むとハチミツと洋梨の香りがふんわりと広がる。鼻に抜ける香りも良い」
「スモーキーさが少なく飲みやすい。トワイスアップで飲むために買ったが、ストレートかロックが良い」
「想像していた通りうまい。やっぱりストレートで飲むのがいい」
「うまくてコストパフォーマンスに優れている。アイラ系が苦手な私にはちょうど良い」
「マッカラン派だが、飲みやすくて美味しくて手頃なウイスキー」
「猿のメタルバッジと木製の栓が古風でいい雰囲気」
「5,000円クラスの奥深さはないが、ねっとりした甘さと草のような香り。まろやかでバランスが良い」
「アイリッシュウィスキーが好き。このお酒もやさしい飲み口」
モンキーショルダーのおいしい飲み方
個別のキーモルトの味を知っていると、それぞれの特徴に気をとられて、つい比較してしまい、風味に曖昧さを感じてしまうことがありますよね。
先に述べたように、ハイボールや加水してしまうと持ち味の繊細な味と香りがとんでしまうのでもったいないですね。
個性を楽しみたければ、メーカーも推奨するようにストレートか、ロックがおすすめです。
モンキーショルダーの意味
「モンキーショルダー」という意味の由来は、フロアモルティングが盛んに行われていた時代と関連しています。
モルトマン(作業員)は木製のシャベルを使っていましたが、この道具が重く、熟練が要求される上、24時間体制で麦芽の状態を見なければならないのでかなりの重労働でした。
その結果、肩を痛めることもあり、フロアモルティングにより痛めた肩は「まるで肩に猿が乗っているようだ」という意味で、モンキーショルダーと呼ばれました。
また、実際に長年フロアモルティングに従事すると、肩が前方に突き出て猿のような姿勢になりやすかったのだとか。
そんな往年のモルトマンへの敬意からつけられた名称です。
キーモルトのひとつを造っているバルヴェニー蒸留所は、現在でも自社で昔ながらのフロアモルティングをしている数少ない蒸留所のひとつ。
「モンキーショルダー」のホームページを確認すると、「今では少ない手作業で大麦の醸造を行っていて、作業環境も良くなっている」とのこと。ちょっと安心しました。
モンキーショルダーのスペシャルケージ(檻)付ギフトやゴリラボトル
「モンキーショルダー」には贈答用に「スペシャルケージ付ギフト」のセットもあります。ボトル(猿)が檻に入っているおしゃれなデザイン。
このほか、超特大瓶ゴリラボトル4,500ml(ブランコ クレドル付)もあります。中味は通常のモンキーショルダーと同じです。
いずれも通販では希少です。ゴリラボトルのほうは記事アップ日時点で唯一、ヤフーショッピングに在庫があるようです。
モンキーショルダーの種類「スモーキーモンキー」とは?
モンキーショルダーの種類には「モンキーショルダー スモーキーモンキー(MONKEY SHOULDER SMOKEY MONKEY)」もあります。
イギリスとフランスのバー向けに2017年に発売されたボトル。日本未発売ですが、並行輸入品で希少ながら入手できます。
特徴はヘビーピートが使われていること。
キーモルトのひとつを生産しているバルヴェニー蒸留所では、2002年から1年に1週間だけ、30ppmのヘビーピートを焚く期間「ピートウィーク(Peat Week)」があります。
スモーキーモンキーではそのヘビーピートが使われているのが特徴で、アイラモルトとはひと味違うスモーキーフレイバーが楽しめますよ。