ノルデスアトランティックガリシアンジン・ベースはスペイン高級葡萄
「ノルデスアトランティック ガリシアン ジン(Nordes Atlantic Galician Gin)」はスペイン、最北西部のガリシア州でノルデス社が造っているクラフトジンです。
特徴のひとつはガリシア州で栽培される白ワインで知られる高級ブドウのアルバリーニョ種の一部を、ベーススピリッツとして使っていることなんですね。
ガリシア州にはワイン原産地呼称に認定された地域が5つもありますが、そのうちのひとつが1988年に認定された「リアス・バイシャスD.O.」。
ブドウ耕作面積は2,700hにおよび、180ものワイン醸造業者が生産にあたって、ガリシア州最大の生産量を誇っています。
ここでおもに生産されるのが、アルバリーニョ種という高級ブドウ品種。
数あるワイン用葡萄のなかでも非常に濃厚な香りがすることで知られています。
サンゴ草や海藻まで、個性的なボタニカルを多彩に使用
もうひとつの特徴が、個性的なボタニカルが多く使われていること。
ボタニカルはジュニパーベリー、ケルプ、セージ、ペッパーミント、レモングラス、カルダモン、生姜、アッケシソウ(salicornia)、ユーカリ、ハイビスカス、セイロン茶葉、キナ、ローリエなどの15種類。
アッケシソウは日本では1891年、厚岸湖(厚岸町)のカキ島で発見されたことからこの名がつきましたが、秋に茎や枝が紅紫色に色づくことからサンゴ草とも呼ばれています。
塩分を多く含む湿地(塩湿地)に育つアカザ科の植物。草丈は10~30センチほどでふだんは花も葉も目立ちませんが、茎が8月中頃から赤くサンゴ色に変色。
すると、一面赤い絨毯をしきつめたような美しい景色を見せてくれるんですね。
日本の環境省のレッドデータブックでは、近い将来、絶滅の危険性がある植物に指定されています。
また、ケルプというのはコンブ科に属する海藻で、海藻を使ったジンというのも珍しいですね。
このように書くと、植物や海藻のエグミが強いような印象を受けますが、実際にはこれらは隠し味程度。
ベーススピリッツのブドウとハイビスカスが、ちゃんとフローラルな風味を主張しているのがおもしろいところです。
Nordes Atlantic Galician Ginの価格とレビューの評価
ノルデスアトランティック ガリシアンジンはアルコール度数40度・700mlで、あくまでも記事アップ日の最安値ですが3,900円前後。
一般的な評価は数が少ないものの、香りの強さにたいする好みが分かれる感想があります。
「甘くて香水のような香りなので常温ストレートがおいしい飲み方」と評価する人もいれば、「芳香剤のような独特の香り」と感じる人もいます。
ただし、香りがきついと感じた人はジントニックにすると、「ハイビスカスの香りがトニックと混ざり合っておいしい」と勧めています。
また、支持するレビューには「ジントニックにするとフルーツリキュールのカクテルを飲んでいるかのような南国風の味わい」「スペインで飲んだことがあって、美味しくてずっと探していました」「クラフトジンの概念を覆すほどの香水のような甘く華やかな香り」があります。
ボタニカルにはジントニックの苦味成分のキナも
キナ(kina)は南アメリカ原産のアカネ科の薬用樹木。ジントニックの本場、イギリスのトニックウォーターにも使われていることでも有名ですが、目的は苦味成分のみです。
キナの木の皮の中にある成分を抽出して精製した結晶性アルカロイドはキニーネと呼ばれ、解熱(げねつ)剤やマラリアの特効薬に使われました。
精製したキニーネ自体には副作用があるため、現在は使われていません。つまり、精製しない状態ならキニーネも微量しか含まれないため、問題ないわけですね。
ガリシア州はリアス式海岸の語源となった地域
ガリシア州は年間を通して穏やかな気候で、いちばん寒い月でも摂氏8度以下になることが少ないと言われています。
ちなみに、リアス式海岸の語源となったのがこの地域。
起伏の大きい山地が地盤沈降や海水面上昇に伴って海水の進入を受け、尾根が半島になり、谷が入り江になった海岸です。
ガリシア語、カスティーリャ語(スペイン語)での入り江(リア)の複数形が「リアス」となります。