オールドクロウバーボンウイスキー・松田優作さんの映画にも登場
「オールドクロウ(Old Crow Bourbon Whiskey)白ラベル」はケンタッキー州クレアモントにある、ビームサントリー所有のジムビーム蒸溜所で造られているバーボンウイスキーです。
日本では松田優作さんのアクション映画「遊戯シリーズ」3作目の「処刑遊戯」で、バーの1シーンにもオールドクロウのボトルが登場したことでも知られます。
歴史の発祥はスコットランドからケンタッキー州のフランクフォートに移住してきた医師・化学者のジェイムズ・C・クロウ博士。
1835年に彼が創設したオールドクロウ蒸溜所で初めて製造されたわけですが、このとき生まれた「サワーマッシュ製法」の生みの親としても、バーボンの歴史に名を残す人でもあります(サワーマッシュ製法については後述)。
オールドクロウの価格とレビューの評価
オールドクロウはアルコール度数40度・700mlで、今日現在の販売店での安い価格帯は1,200円前後。
定価の目安となる日本の販売元、サントリーの希望小売価格が1,400円なので、通販では若干安く購入できますね。
一般的な評価からまずはマイナス評価を指摘する感想をあげてみます。
「ストレートで飲んで美味いという感想を得られるほど味わい深くはない」
「これまで飲んだオールドクロウと全然、味が違う」
「鼻にぬける匂いはバーボンですが、物足りない感じ」
「安くてうまいバーボン。ただやっぱり高い酒には勝てない」
「ドライでさっぱり。香りはあまり良くない」
支持するレビューは以下の通りです。
「アメリカの大衆酒。独特のコクとスモーキーな香りが気に入ってます」
「バーボンでもオールドクロウが1番。やはり他の物とは違う、美味しい」
「特徴を感じにくかったが、まずくはない」
「バーボン好きで千円台の常飲酒ならこれ。飲みやすく低価格帯にある変な癖もない」
「安いバーボンと較べ、しっかりした味」
「味わいは決して派手ではなく、恐らく初めて飲む人には大きな感動は与えないが、オールドクロウの一番優れている点はまさにそれ」
全体的に大きな特徴やクセはありませんが、それだけ安定感のある風味で、とくに安い価格帯のバーボンで探すならこれもありという感じでしょうか。
ちなみに、「これまで飲んだオールドクロウと全然、味が違う」という感想もありますが、あとで紹介するように経営がジム・ビームに変わってしばらくしてから味が変わったとする評価もあるんですね。
オールドクロウの種類・リザーブとボンデッド
オールドクロウの種類にはこのスタンダードのほか、「オールドクロウリザーブ(Old Crow Reserve)」「オールドクロウボンデッド(Old Crow Bonded)」があります。
リザーブとスタンダードとの違いは、スタンダードが3年熟成の40度なのにたいして、リザーブは4年熟成の43度でボトリングされているため、定番よりもコクと甘みを楽しめます。
また、ボンデッドは50度でボトリングするという「BOTTLED IN BOND(ボトルド・イン・ボンド)」法というその昔存在したバーボンの法律を今に受け継いでいるボトル。
オールドボトルの人気が高いですが、どちらも日本の通販では入手しにくいのが現状です。
サワー・マッシュ製法とは
サワー・マッシュ(Sour Mash)はウイスキー製造プロセスの名称ですが、特有の強い酸味と風味をもつ「サワードウ・ブレッド」というパンの製造過程に類似しているので、この名で呼ばれます。
バーボンの製造ではトウモロコシを主に、大麦や小麦などを別々に挽いたあとで湯に混合して、クッカーと呼ばれる鍋でまとめて煮沸・糖化させます。
このドロドロの液状物質が「マッシュ」。この時、仕込水とともに穀物に投入されるのが前回蒸溜の際に出た蒸溜残液です。
新しく糖化させようとする仕込み水に25%ほど加える方法が「サワーマッシュ製法」。
発酵が過剰になるとバクテリアが大量繁殖し、バーボンの味を損ねる原因となる酸が生成されてしまいます。
この製法はクッカーの内部を理想的な酸度に整えることを目的として、オールドクロウに初めて導入され、一般的な製法になっていきました。
オールドクロウの歴史
オールドクロウは一時期、合衆国で最も売れるバーボンにまで成長します。
ところが、クロウ博士の死後、20世紀後半に入ってサワーマッシュの工程を誤ったまま製造を続けたことで品質が落ち、売り上げ低下を招いてしまうんですね。
1987年にかつてバーボン売上トップの座を争っていたビーム社に買収されると、製造工程や原料はジムビームに倣ったものに変わっていきました。