ポートエレン蒸留所の意味と歴史
「ポートエレン(Port Ellen)」はスコットランド・アイラ島にあるポートエレン蒸留所が造ってきたシングルモルトウイスキーです。
ポートエレンとは蒸留所のある町の名前に由来します。もともとの意味はアイラ島の所有者だったウォルター・フレデリック・キャンベルが妻エレノアの愛称「エレン」から名付けたことに由来します。
1825年、地主のキャンベルの支援を受けてアレクサンダー・マッカイがポートエレン蒸留所を創業。
アイラ島のスコッチらしいスモーキーさ、華やかで繊細な香りと味わいで根強い人気を集めました。
閉鎖の理由はウイスキー低迷時代における蒸留施設の合理化
1925年に現MHDモエヘネシーディアジオ社の前身であるDCL社(Distillers Company Ltd)傘下となります。ちなみに、ジョニーウォーカー社がDCL社傘下となった時期と重なります。
その後、閉鎖や再稼働を経て、世界的にウイスキーの消費量が低迷した時代の1983年、DCL社の合理化によってポートエレン蒸留所の閉鎖が決定。1987年に解体されてしまいます。
これによって、アイラ島ではDCL社傘下のカリラ蒸溜所だけが稼働を続けます。とはいえ、すべてが閉鎖されたわけではなく、アイラ島の他蒸溜所へモルトを供給するため、モルティング施設だけは稼働し続けていました。
閉鎖前に多くの原酒が仕込まれ、大切に貯蔵されたため、これまでにオフィシャルやボトラーズから少量ずつですが、リリースされています。
閉鎖から復活、2021年に再稼働予定
オフィシャルのオールドボトルを調べてみると「ポートエレン1979(22年・1stリリース) 」から「1979-2017リミテッドエディションリミテッドエディション(37年)まで17リリース。
このあと紹介する2019年の39年も入れると18thとかなり多いのですが、先述したように限定で数も少ないため、非常に価格が高騰。
幻のレアモルトと呼ばれるようになってしまい、晩年のシングルモルトはオークションで高値を付けています。
そして、時は流れて2017年にディアジオ社が2020年に蒸溜所を再稼働させると発表。様子見が続いていましたが、2019年に再稼働は2021年との発表があり、だんだん現実味を帯びてきています。
銘柄 |
容量・度数 |
価格 |
発売元 |
ポートエレン1979(22年・ファーストリリース) |
56.2度・700ml |
322,920円 (税込) |
オフィシャル (レアモルト) |
ポートエレン1978(24年・2ndリリース) | 59.35度・700ml |
400,000円 (税込)
|
オフィシャル (レアモルト) |
ジョニーウォーカーブルーラベル ゴースト&レア ポートエレン |
43.8度・750ml |
希望小売価格 34,000円(税別) |
MHDモエヘネシーディアジオ
(ブレンデッド) |
46度・700ml |
5,400円(税込)ほど |
ダグラスレイン (ブレンデッド) |
限定オフィシャルボトルは希少で価格が高騰
再稼働に先駆けて、2019年4月23日に日本で発売されたのがオフィシャルの限定品「ポートエレン39年(Port Ellen 39YO)」。
先に掲載した各銘柄とともに、あくまでも記事アップ日の最安値価格ということになりますが、アルコール度数50.9度・700mlで548,000円(税抜)とさすがに高価です。
アメリカンオークとヨーロピアンオークのリフィル樽で熟成された原酒から厳選されたものですが、すでに通販にはないようですね。
また、蒸留所が再稼働してもしばらくはオフィシャルの熟成ボトルが飲めないので、数少ないオフィシャルとボトラーズから販売されているシングルモルトが最後の望みといったところです。
幻のレアモルトが無理なら、ボトラーズやブレンデッドもある
ボトラーズの銘柄はシグナトリー社から出ている「1978-2002(23年)」「1979-2002(22年)」をはじめとして多数あります。
こちらも価格は高めとはいえ、オフィシャルよりは少し安い価格帯。さらに、求めやすい価格で探すならブレンデッドとなります。
ポートエレンがブレンドに使われたジョニーウォーカーブルーラベルの限定品、ダグラスレイン社のビッグピートあたりが狙い目でしょうか。
ヤフオクやメルカリなどの情報を探せるオークション情報を最後に紹介しておきます。