レッドブレスト12年 シングルポットスチルウイスキーを復刻
「レッドブレスト12年(Redbreast Aged 12 Years)」はアイルランドのコーク郊外にある新ミドルトン蒸留所(ペルノ・リカール傘下)が造っている、シングルポットスチルアイリッシュウイスキーです。
シングルポットスチルウイスキーの別名は、ピュアポットスティルウイスキー。スコッチでおなじみのシングルモルトとの違いがわかりにくい方もいらっしゃるかもしれません。
まずは、シングルポットスチルウイスキーの定義をかんたんに解説するとこの2点が特徴です。
・銅製ポットスチルでの3回蒸留
・原料は大麦麦芽(モルト)30%以上、未発芽大麦30%以上、そのほかの穀物(ライ麦やオーツ麦など)の使用は全体の5%未満
価格とレビュー、カスクストレングスも高評価
レッドブレスト12年はアルコール度数40度・700ml、定価の目安となる希望小売価格(税込)は5,724円、最安値価格は5,000円くらい。
一般的なテイスティング評価は「香りがやや強い気がするが、口当たりが思う以上に良かった」「アイリッシュウイスキーとしては比較的リッチな風味」「複雑なテイストが一気に口の中で弾ける感じ」など、レビューも好評です。
反対の感想には「すごく繊細な味わいなので、クセが好きな方には物足りないかも」という声もあります。贈答用なら相手の方の好みを調べてからのほうが無難かもしれません。
銘柄 |
通販販売店の 最安値価格(税込) |
レッドブレスト12年 (40度・700ml) |
5,000円ほど |
カスクストレングス (約59度・700ml) |
8,200円ほど |
レッドブレスト12年は樽由来の繊細な風味が特徴
「レッドブレスト12年」の特徴は伝統的なシングルポットスチルの規定を踏襲したうえで、3回蒸溜を行い、200リットルのホワイトオーク材のバーボン樽、スペイン南部で作られた500リットルのシェリー樽で12年熟成している点にあります。
とくに、オロロソ・シェリー樽由来のドライフルーツ、シナモン、はちみつ、ココナッツ、スパイスなどの風味が繊細で、40度と思えないなめらかさがあるんですね。
12年のカスクストレングスも販売されています。樽ごとにアルコール度数が異なりますが、約59度で700ml。最安値価格で8,200円ほど。
3回蒸溜、シェリー樽原酒の割合ともにスタンダード12年と同じですが、違いはノンチルフィルターでボトリングしているため、本来のコクが楽しめることです。
ジェムソンで知られるボウ・ストリート蒸留所の銘柄を復刻
レッドブレストはもともとダブリンのリフィー川左岸のボウ・ストリート通りに建てられた「ボウ・ストリート蒸留所」で生産されていたウイスキー。
「ジェムソン(Jameson)」でも知られている蒸留所です。19世紀後半までのアイリッシュウイスキー全盛時代、マローボーン・レーン蒸溜所、ジョンズ・レーン蒸溜所、トーマス・ストリート蒸溜所とともに、「ダブリンのビッグ4」と呼ばれるほど巨大な生産量を誇りました。
しかし、20世紀になるとアイリッシュウイスキーは衰退の歴史をたどり、1971年にボウ・ストリート蒸溜所は閉鎖されます。
レッドブレストの意味は?
「レッドブレスト」銘柄は「ジェムソン」とともに、1975年より新ミドルトン蒸留所(ジェムソンの資本も入ったアイリッシュ・ディスティラーズ社)に引き継がれました。
現在でもボウ・ストリート蒸溜所の一部はジェムソン博物館として公開されています。
ちなみに、ブランド名の「REDBREAST(レッドブレスト)」とはコマドリの赤い胸の意味で、シェリー樽の熟成によってウイスキーが赤みを帯びることにちなんでいます。
イギリスでは「ヨーロッパコマドリ」という種類の国鳥。コマドリの胸が赤くなってしまった理由が、宗教的な意味合いをもって民話でたとえられたりします。
英語では「robin(ロビン)」。西洋では「男女どちらでも付けて良い名前の代表」だとか。漫画のキャラクターでも「バットマン」「ワンピース」「キン肉マン」などに登場しますね。
日本では「三大鳴き鳥」のひとつとされていて、コマドリの鳴き声が馬の鳴き声と良く似ているため、馬を意味する「駒」の文字を当てて「駒鳥」と呼ばれているそうです。
飲み方は炭酸で割るとスパイシーな味わいが楽しめないので、ストレートか、ロック。アイリッシュコーヒーも贅沢ですね。