スプリングバンク10年 2017年からの新ラベル、価格は?
「スプリングバンク10年(Springbank 10 years old)」はスコットランドの南西部、キンタイア半島の先端部「キャンベルタウン(Campbeltown)」にあるスプリングバンク蒸留所が造っているシングルモルトウイスキーです。
2017年から新ラベルになりました。アルコール度数は高めの46度・700ml。
あくまでも記事アップ日の価格ですが、相場は税込8,000円前後ですが、タイミングによっては7,000円くらいの最安値の販売店が見つかることもあります。
やはり、ニューラベルほど安いようで、記事アップ日の時点で価格だけなら2018年リリース物あたりが最安値となっています。旧ラベルは新ラベルよりちょっと高めの9,000円くらいからですね。
銘柄 |
記事アップ日時点での 通販販売店の相場価格(税込) |
スプリングバンク10年新ラベル (46度・700ml) |
8,000円前後 |
旧ラベル (46度・700ml) |
9,000円前後から |
オールドボトル (46度・700ml) |
3,5000円前後から |
特徴は手作りで生まれる潮気と優雅な香り
もともと人気の高い銘柄ですが、現在は世界的に需要が供給を上回り、2018年の春あたりから値上げになりました。
くわしくは後半で解説しますが、スプリングバンク10年は2回半蒸留、製麦から瓶詰までが昔ながらの手作りで、大手のように大量生産ができません。
大きな特徴は港町キャンベルタウンに位置する蒸溜所ならではの少し「塩辛い(Briny)」テイストと「モルトの香水」と称されるほどの高い香り。
高級ボトルに見合う評価が多数、自分への特別なご褒美に
グラスに注いだだけで部屋に甘い香りが漂うほどで、口に含むと潮の風味が口に広がったあとで上品な甘みがやってきます。
一般的な評価は「幸せになれる1本」「とても素敵な香りがします。贈り物や年に一度くらい自分のご褒美として購入しても損は無いかと」「華やかで潮風を思わせるコクがある」「ほのかなソルティ加減とバニラの香り」など、高級ボトルでも納得できるという感想が多く見られます。
スプリングバンク蒸留所は1828年当時の設備、製法を継承中
キャンベルタウンはハイランド、スペイサイド、ローランド、アイラ、アイランズとともにスコッチのシングルモルトの名産地として知られています。
その昔30以上もの蒸留所が存在していましたが、衰退して一時は2つの蒸留所だけになってしまいました。それがスプリングバンク蒸留所とグレンスコシア蒸留所。
創業以来、すべての麦芽は手間と労力のかかる自家製麦(フロアモルティング)が行われ、初留釜は石炭での直火蒸留。
2004年にスプリングバンク蒸留所オーナーのJ&A・ミッチェル社が1925年から休止していたグレンガイル蒸溜所を再興したので、現在は3蒸溜所が操業中です。
スプリングバンク蒸溜所は1828年にレイド一族が創業しますが、経済的な理由により1837年に現オーナーのJ&Aミッチェルの所有となりました。スコットランドでも数少ない独立資本の蒸留所です。
同蒸溜所の特徴は「操業している博物館」とまで言われるほど、今でも1828年当時の設備、製法にこだわっている蒸溜所です。
仕込み水に使われているのは、町の背後の丘にあるクロスヒル湖の水。この湖は19世紀に第7代アーガイル公キャンベルが、キャンベルタウンの蒸留所のために造った人工の貯水池です。
さらに、100年以上使われているという年代物の仕込槽や2回半の蒸留と最良の樽での熟成、ボトリングの際は冷却濾過を施さず度数を46度にしています。
2回半の蒸留とはなにか
2回半の蒸留とはこのような方法です。
1.1回目の蒸留(ウォッシュスチル)で造られたA液
2.A液を使って2回目の蒸留(ファーストローワインスチル)でB液完成
3.B液80%、A液20%を使って3回目の蒸留(セカンドローワインスチル)でC液完成!
つまり、B液80%分が3回蒸留、A液20%分は2回蒸留されたものなので、2.8回蒸留というわけですね。
製麦からボトリングまでのすべての工程を蒸溜所の敷地内で管理する姿勢は、まさにキャンベルタウンモルトの代表を自負するだけのことはあります。