「タンカレーロンドンドライジン(Tanqueray London Dry Gin)」はタンカレージンのなかでもつねに人気上位のスタンダードなジンです。そのままでもジントニックでもおいしいですね。
1830年から受け継がれる伝統のレシピにより、厳選されたボタニカルを4回蒸留。アルコール度数の調整には質の高いロンドン・フィンズベリー区の湧き水が使われています。
タンカレーはジョン・F・ケネディやフランク・シナトラが愛飲したことでも知られています。今回はふたりの有名人の名前がついた、タンカレー由来のカクテルを紹介します。
まちがった情報もネットに掲載されていますが、実際にはどちらも日本のバーテンダーの方が彼らをイメージしてつくったというカクテルです。
ジョン・F・ケネディ由来のカクテルとして知られているのが「JFK」。これはジョン・F・ケネディ第35代米国大統領が凶弾に倒れてから、東京・銀座のバー「保志」のオーナーでもある保志雄一(ほしゆういち)さんが考案したレシピです。
保志雄一さんは1998年に日本バーテンダー協会全国技能大会で総合優勝、2001年にはインターナショナル・バーテンダーズ・コンペティションで総合優勝して世界一となった実力者です。
ジョン・F・ケネディはタンカレーNo.10を愛飲していたので、使うのはスタンダードのほうではなくてNo.10を45ml。それにドライ・シェリーのドンゾイロ(ウィリアムス&ハンバート社)を10ml、オレンジリキュールのグランマルニエ5ml。
これらをマティーニと同じようにステアすると、薄いオレンジ色のマティーニのようになります。
オリーブを沈めてオレンジピールを2ダッシュ振ったら、最後に大きめのオレンジピールをひねって霧をとばして火を点けます。
シトラス風味と炎は華やかな大統領の人柄を表現したのでしょうか。ちなみに、禁酒法廃止後、ホワイトハウスで初めて飲まれたお酒はタンカレーなのだとか。
フランク・シナトラはタンカレーとワイルド・ターキーの愛飲者でした。彼を敬愛していた東京・神宮前「Bar Radio(バー・ラジオ)」のオーナーでバーテンダーの尾崎浩司さんが考案したのが、「フランシス・アルバート」です。
名前の由来はシナトラの本名「フランシス・アルバート・シナトラ」からきているそうですが、実際のところは「フランク・シナトラ」という名前で出していたらいつのまにか変わっていたという説もあるようです。
このカクテルも銘柄がしっかり指定されています。バーボンのワイルド・ターキー8年と、スタンダードの「タンカレーロンドンドライジン(Tanqueray London Dry Gin)」を1:1でグラスに直接注いでステアします。
ワイルドターキーのパンチが先にとんできて、あとからタンカレーの芳香が鼻を通り抜けて、軽い甘さを残しながら消えていきます。
尾崎浩司さんは現在、青山通りから路地を入ったところにある3rd Radio(サードラジオ)にいらっしゃるそうです。
1970年頃には、新宿のジャズ喫茶DUG(ダグ)で働いていたという尾崎浩司さん。80年代後半、私も新宿で喫茶店に入るならDUGか、カトレアでした。