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vat69 映画登場の特級オールドボトルと現代。風味の違いとは

vat69 映画登場の特級オールドボトルと現代。風味の違いとは

「VAT69 Whisky」は1863年からスコットランドのサウスクイーンズフェリーで、ウィリアム・サンダーソン&サン社(ディアジオ社傘下)が製造しているブレンデッドウィスキーです。

 

VAT69のVatとは樽(Cask)であり、69は69番目の樽を意味します。読み方はバット69で、このスコッチの誕生は1883年。

 

ウィリアム・サンダーソン氏が自身でブレンドした100種類のウイスキー樽を用意して、熟練のテイスター集団を集めました。

 

そこで専門家が最高だと評価したのが「69番目の樽」だったため、このブランド名の販売が始まりました。

 

クイーンズフェリーの画像
Queensferry クイーンズフェリー

ロイヤル・ロッホナガーがキーモルトのスコッチウイスキー

サンダーソン氏はハイランド地方東部のロイヤル・ロッホナガー蒸留所の創設者であるジョン・ベッグと友達でした。

 

その縁からブレンドのメインモルトに「気品あるハイランドモルト」と形容されるロイヤル・ロッホナガーを使えました。

 

ロイヤル・ロッホナガーはジョニーウォーカー最高峰「ジョニーウォーカーブルーラベル」のキーモルトにも使われていることでも有名です。

 

VAT69が1,000円そこそこの価格で買えるのは、ロイヤル・ロッホナガーのほかに約40種以上のモルトウイスキー、さらにグレーンウイスキーのブレンドのためです。

 

使用されるキーモルトも時代によって変わってきたともいわれます。

現代のVAT69と特級オールドボトルの風味の違い

オールドボトルは日本では「VAT69特級ファイネストスコッチウイスキー(VAT69 FINEST SCOTCH WHISKY)」と紹介されていて、ボトルがずんぐりとした台形をしているのが特徴です。

 

1970年代以前の旧ボトルは形だけでなく、風味も現在とは大きく異なります。旧ボトルは高評価ですが、これは当時のロイヤル・ロッホナガーの風味が現在と異なっているためと言われます。

 

その影響でオールドボトルは個性的なピート香とほろ苦さ、甘いコクが魅力の逸品です。

 

後述する映画(ドラマ)「バンド・オブ・ブラザース」のニクソン大尉が好んで飲んでいたのはオールドボトルなので、こちらを試したいならヤフオクあたりで購入するしかありません。

 

確認いただければわかるように、希少のためにそれなりの価格です。

VAT69の価格とレビューの評価

現代のVAT69はアルコール度数40度・700mlで、記事アップ日(2020年12月6日)の販売店での安い価格帯は1,100円前後。

 

一般的な評価からまずはマイナス評価を指摘する感想をあげてみます。

 

「シングルモルトでいろいろな味わいを知っていれば、個性的とは感じない。ラフロイグアードベッグと比べてもとてもおとなしい」

「ハイボールはとても飲みやすいが、ピーティーさがなくニート(ストレート)だと物足りない」

「値段のまま、良くも悪くもなし。アルコールにまろ味がないのも値段相応」

「初心者なら同じ価格帯でも、バランタインファイネストやジョニ赤の方が飲みやすい」

「飲みやすいと言えばそうだが、水割り、ソーダ割りにするとパンチがない」

 

支持するレビューは以下の通りです。

 

「口に含むと、ほどよい甘みと酸味が樽の香りとともに広がる」

「メイプルシロップを思わせる甘口。ベルズに似た濃厚な味わい」

「つまみはいらないくらい特化した甘さがあるので、ちょっと酔って寝たいときにぴったり」

「安くておいしい。ベルほどスモーキーさはないが感じられる。酸味とフルーティーさを楽しめてとても飲みやすい」

「海外ドラマを見て購入。とても甘口で飲みやすく、女性にもいい」

「甘さやや控えめで、カティサークの辛口と言った感じ」

「50年代の私の祖父のお気に入りだった。スムーズでお金に見合う価値がある(英国)」

「豊かでフルボディの奇妙なフレーバー。あらゆる点でシングルモルトとは大きく異なるがそれも良い(英国)」

 

現代のVAT69は常飲酒向けの安くてうまいブレンデッド

あくまでも個人的な印象ですが、現代のVAT69は1000円スコッチの同じ価格帯にあるグランツファミリーリザーブよりも複雑さはない印象ですが、甘味と適度なバランスは濃いめのハイボールならいいかなという感じです。

 

甘味はフェイマスグラウスのシェリー感とは違って、砂糖に近いような印象を受けます。

 

開栓したあとのボトルの香りは蜂蜜の匂いがしますが、強く吸い込むと鼻にちょっとツーンとくるのでこのあたりは1,000円台ウイスキーならではでしょうか。

 

そこそこおいしくてコスパが良いので、常飲酒にはいいかもしれません。

TV映画「バンド・オブ・ブラザース」ニクソン大尉とvat69旧ボトル

VAT69を「バンド・オブ・ブラザース(Band of brothers)」で知って興味をもったという方も多いですね。

 

スティーヴン・スピルバーグ監督と俳優のトム・ハンクス製作総指揮の実話に基づく戦争映画です。

 

正確には映画ではなく、アメリカのTV放映向けに作られた10回シリーズのTVドラマ。

 

第二次世界対戦(1939年から1945年)におけるアメリカ陸軍空挺第101空挺師団、第506歩兵連隊、第2大隊E中隊の訓練学校から対ドイツ戦までが描かれています。

 

日本でもレンタル可能です。このドラマの登場人物、ルイス・ニクソン大尉が好んで飲んでいたウイスキーがVAT69のずんぐりしたオールドボトルです。