「キングスバリー ビクトリアンバットジン シングルカスク(Kingsbury Victorian Vat Gin Single Cask)」はロンドンのキングスバリー社で造られているクラフトジンです。
以前の記事で紹介した「ビクトリアンバットジン」とこのジンの違いは、まず、シングルカスクの樽でジンが熟成されている点。
さらに、「ビクトリアンバットジン」がアルコール度数47%であるのにたいして、この「シングルカスク」はより高い56.8度となっています。
シングルカスクとはもともとウイスキーの製造方法における専門用語です。シングルカスクの解説の前にシングルモルトを理解する必要があります。
シングルモルトとはひとつの蒸留所、つまりA蒸留所のみで造られた作り出されたモルトウイスキーを言います。
とはいえ、A蒸留所で熟成された樽(カスク)の中身は入っている樽ごとに香りや成分などがちがうため、風味が異なります。そのため、異なる樽のモルトウイスキーをブレンドさせてから瓶詰めしているんですね。
それにたいして、シングルカスクはそのままの意味である「一つの樽」の通り、一つの樽からブレンドせずに出荷される原酒をいいます。
「キングスバリー ビクトリアンバットジン シングルカスク(Kingsbury Victorian Vat Gin Single Cask)」はジンをひとつの樽で熟成させたものを、お色直しせずにほぼそのまま出荷しています。
とはいえ、樽ごとに品質が違うといことは、何度か出荷するとなれば前回と大きく味が変わる危険もあるわけで、それだけ手間暇かけて慎重に造られていると想像できますね。
ビクトリアンバットジンのシリーズに共通しているテーマは、ジンが流行し始めた19世紀のヴィクトリア朝当時の味の再現。
当然ながら、こちらも当時の特徴であるジュニパーの量を倍にした濃厚な味わいです。
56.8度という高めのアルコール度数でボトリングすることにより、ダブル・ジュニパーがより強く感じられます。
「ノンチルフィルターが採用されているので、瓶内に黒い固形物が見られることがありますが、これは成分を最大限に引き出すために強く焦がされた樽の内側です」と注意書きにありますが、これもまさに樽の旨味を残したいという姿勢でしょう。
ノンチルフィルターの解説はこちら>>>「オランチア ハンドクラフテッドジン」
ラベル右下部枠外にラベルカスクナンバー(樽番号)がつけられています。貴重な風味をじっくりと楽しみたいですね。