ウエストコークカスクストレングスは57.5度と62度がある
「ウエストコークカスクストレングス(West Cork Cask Strength)」はアイルランド・コーク州のウエストコーク蒸溜所が造っているアイリッシュウイスキーです。
日本ではアルコール度数が57.5度のボトルと62度のボトルが流通しています。このカスクストレングスと定番シングルモルト「ウエストコーク10年」との違いは以下の点です。
1.熟成表記のない若い原酒によるノンエイジボトル
2.10年が40度にたいして、カスクストレングスは57.5度か62度
3.原酒に麦芽の旨みを移す工程
4.原酒を3種の木炭で濾過する工程
ウエストコーク蒸溜所のこだわり1「麦芽の旨みを移す工程」
ウエストコーク蒸溜所ではアイルランド産大麦100%を使うほかにも、こだわりをもっています。
そのひとつが、熟成したウイスキーをマッシュのオリの上で寝かせて麦芽の旨みを移すという工程。
マッシュ(mash)とは糖化の意味で、まずは原料の麦芽を粉末状に挽いたものをマッシュタン(仕込槽)に入れてお湯を注ぎます。
すると、麦の栄養分がお湯に溶け込み、麦芽に生まれた糖化酵素の働きによって麦芽のデンプンが糖分に変化するんですね。この状態がマッシュ。
マッシュを濾過した液が麦汁で、この麦汁に酵母を加えることでアルコール発酵がはじまります。
この工程を行う仕込槽の上で、熟成したウイスキーを寝かせて麦芽の旨みを移しているんですね。このあとの工程でも風味づけされるので、微妙な下味といったところなのかもしれません。
こだわり2「3種の木炭濾過による個性的な香りと風味」
麦芽の旨みを移したあとは、焦がしたミズナラ、スパニッシュ、アメリカンの3種のオークの木炭を投入して濾過する(フィルタリング)という工程がとられます。
メーカーではこの工程を「有名なテネシーウイスキーによく似たフィルタリング法で滑らかな舌触りを実現」と解説しています。
テネシーウイスキーといえば、このサイトでも紹介している「ジャックダニエル」が知られていますね。チャコール・メローイング製法で、蒸溜直後のウイスキー原酒をサトウカエデの炭で濾過する工程をとっています。
サトウカエデは樹液を煮詰めたものが、メープルシロップとして利用される素材。いっぽうウエストコークカスクストレングスで使われるのはオーク材。両者の風味にしっかりとした違いとなって現れてくるわけですね。
ウエストコークカスクストレングスの価格と評価
銘柄 |
通販販売店の 相場価格(税込) |
カスクストレングス (57.5度・700ml) |
3,200円前後 |
カスクストレングス (62度・700ml) |
2,800円前後 |
ウエストコークカスクストレングスはアルコール度数が57.5度のボトルと62度のボトルが流通していますが、今日現在は62度のほうが価格も2,800円ほどと若干安いようです。
このカスクストレングスは一般的な評価は度数の高さ、個性的なスパイシーな風味が好きかどうかで評価は分かれています。
好きな方にはマイナス評価ではないと思いますが、「炭酸で割ってもスパイシーさが消えない」「甘いが飲み口が尖っている」「ハーブや香辛料のようなスパイシーさ」「カスクストレングスなので結構強烈」というように万人受けはしないといった感想が並びます。
とはいえ、「舌が慣れてくるとチョコレートウェハースの香ばしさと甘みが感じられる」「アイリッシュらしくない強い個性で好き」という感想もあります。
度数からすればとてもコスパは高いので、アイリッシュが本格的な人気になる前に一度トライしてみてはいかがでしょう。暑くなるこれからの季節は、ハイボールに使い勝手がいいかもしれませんね。