ケンタッキー州のワイルドターキー蒸留所の歴史
「ワイルドターキースタンダード40度(Wild Turkey)700ml・1000ml」はアメリカ・ケンタッキー州ローレンスバーグでワイルドターキー蒸留所(オースティン・ニコルズ社)が製造しているバーボン・ウイスキーです。
オースティン・ニコルズ社は1855年に食料品卸売業者としてワインと蒸溜酒の販売をはじめますが、当初は蒸留所を持っておらず、購入した原酒をブレンドして販売していました。
購入先は1869年にリッピ―兄弟が開設した、家族経営のリッピ―蒸溜所。オーナーが何度か変わるなかで、1970年になってオースティン・ニコルズ社が買収します。
以降、蒸留から醸造までの工程を一貫して自社で行うように。ちなみに、同社は1980年にペルノ・リカール(フランス)、2009年からはカンパリグループ(イタリア)の傘下となっています。
ワイルドターキーのブランド名の由来
ワイルドターキーのブランド名の由来は1940年にさかのぼります。当時のリッピ―蒸溜所のオーナーだったトーマス・マッカーシー氏が、アメリカ原産の七面鳥のハンティングに出かたときのこと。
貯蔵庫から自慢の101プルーフ(アルコール度数50.5度)のバーボンを持参していきました。それをハンティング仲間にふるまったところ好評で、仲間の一人が「ワイルドターキー」とネーミングしたんですね。
彼がそのユニークなネーミングを気に入ったことからつけられました。101プルーフは「ワイルドターキー101(日本では8年ボトル)」として現在もその名を残しています。
ワイルドターキーの大きな特徴は、禁酒法以前から行われてきたリッピ―蒸溜所伝統の技術が妥協されることなく、3代目マスターディスティラーのジミー・ラッセル氏、4代目のエディー・ラッセル氏(彼の息子さん)に脈々と受け継がれていることです。
さらに、独自の原料の使用率もあります。アメリカの連邦政府で法定化されているバーボンの定義には、少なくとも51%のトウモロコシを使用することが義務づけられています。
ワイルドターキーではバーボンの定義にのっとったうえで、一般的なバーボンよりもトウモロコシの比率を少なめにして、ライ麦と大麦を多く使用。とくに、ライ麦を多めに使ってスパイシーな味わいに仕上げています。
特徴の3つめは内側を「クロコダイルスキン」と呼ばれる、最強レベルに焦がしたホワイトオークの新樽で熟成させていること。十分に焼き上げることで糖分が出て、バニラのような香りが加えられます。
熟成は7階建ての貯蔵庫に樽を運び入れ、熟成の具合が変わらないように1階と7階の樽を入れ替えながら、じっくり時間をかけてバランスのとれた熟成がおこなわれます。
「ワイルドターキースタンダード」は6、7、8年の原酒をブレンドしているので、最低でも6年熟成ということになります。
ワイルドターキースタンダードの価格
2023年2月6日の時点では、700ml、40度のスタンダードボトルは安いところで税込価格2000円ほど。
それに対して8年700mlを比較すると、50.5度とアルコール度数も高く、税込価格は2023年2月6日の時点で3000円ちょっと。以前は数百円の違いでしたが、度数や味わいを考えると8年にするかどうか、悩みますね。
一般的なレビュー評価、テイスティングもしてみました
ワイルドターキースタンダードの一般的なレビューとして多いのが「クセがなく飲みやすい」という評価。美味しいのですが「バーボンらしいインパクトのある香りやコクが弱い」という面もあります。
スタンダードをテイスティングしてみます。スコッチのようなツンとくる香りはなく、ほのかなバニラの優しい香り。
奥から追撃してくるトウモロコシの野生的な荒さ。ストレートはベタベタすぎる甘ったるさのため、ロックに。甘さが多少和らいで、辛味と酸味が引き出されてきます。8年と比べるとやはり風味は薄め。
ハイボールは味わい深さより、飲みやすさ重視?
ハイボールはほどよい甘味と飲み終わりのすっきりした酸味。炭酸との相性もよく。斜め45度をボケっと見ながら、味わいを探るほどではありません。
このスパイシーな飲みやすさが、翌日の身体を雑穀臭くしてしまうんですよね(笑)。まだ安心価格で飲めるバーボンの一銘柄。ハーパーなどとも比較してみたいと思います。