ウルフバーン3年オーロラ・復活した蒸留所のシングルモルト
「ウルフバーン3年オーロラ(Wolfburn Aurora)」はスコットランド本島北端のケイスネス州サーソーにあるウルフバーン蒸溜所が造っているシングルモルトです。
スコットランドのウイスキー生産地ではハイランド地域に属します。かつて1821年に創業しましたが、1877年頃に一度閉鎖。
2012年、この古い蒸留所跡地の少し下流に新しく建てられたのが現在の蒸留所で、初めての原酒が造られたのは2013年1月。熟成表示のボトルが出てくるのはこれからですね。
ウルフバーン蒸溜所の特徴は、ノウハウの高さと一流の設備
ウルフバーン蒸溜所はわずか4人で生産するコンパクトな体制をとっていて、ボトリングまで手作業で行われています。
統括するのはグレンファークラスで生産マネージャーを努めていたシェーン・フレイザー氏。さらに元グレンリベットのイアン・カー氏が補佐となり、蒸溜の伝統とノウハウが活用されています。
蒸溜所プラントの設計と建設は、世界で評判の高いフォーサイス社による最新鋭の設備。同社はスペイサイドのロセス村にあり、世界中の酒造メーカーにスチルを供給しています。
日本でもベンチャーウイスキー秩父蒸溜所、北海道の厚岸蒸溜所、ガイアフロー静岡蒸溜所、山形県酒田市の遊佐蒸留所など多くのウイスキーメーカーが導入しているんですね。
ウルフバーン蒸溜所の蒸留器は、ウォッシュスチル(初溜釜)がストレート型。ウォッシュ(もろみ)を入れて温度を上げると、気化したアルコールはポットスチルの上昇して冷却装置を通り、ローワインと呼ばれる溜液になります。
これをバルジ型のスピリッツスチル(再溜釜)でさらに蒸留。フォアショット(前溜液)、ミドルカット(中溜液)、フェイント(後溜液)に分類されます。
このミドルカットをわずか10%程度に絞り、モルト原酒として樽熟成に振り向けているのが大きな特徴といえるこだわり。
使っている樽はファーストフィルのアメリ カンオークのEXバーボン樽と、ファーストフィルのオロロソ・シェリー・ホッグスヘッド樽。シェリー樽は全体の約20%に使われています。
3年オーロラシングルモルトの価格と風味
3年オーロラはアルコール度数46度・700mlで、最安値(税込)は5,100円ほど。
わずか3年の熟成にもかかわらず、ミドルカットを絞っているためか、複雑さはありませんがトゲのある口当たりをあまり感じることなく飲めます。
設備や人材からも想像できるように、風味はスペイサイドにちょっと近くなっています。まだ一般的な評価数は少ないようですが、多く入るようになったら追加してご報告しますね。
ちなみに、バーンとは川の意味。蒸留所のある土地にはかつて野生のオオカミが生息していましたが、乱獲によって絶滅しました。蒸留所では古くから湿地帯を静かに流れる小川の水を貯めて使っています。